夏休み4
「やっとか……」
おそらく地図が示したであろう開けた場所に出た。
確かにここならキャンプをするには最適のようだ。
「企画した本人がいないってのも問題だけどね。」
そう文句を言いながら僕は荷物を広げた。
「私も手伝おうか?」
「そこで休んでていいよ。」
先ほどの事もあるし、レイには休んでいてもらおう。
しかし、兄さんと健司はいつここにくるのやら。
――ぼやいていても仕方ないか。
思考停止して作業を再開する。
―――
――
―
結局テントを一人で建て、食事の準備も一人で終わらせてしまった。
未だに二人は現れる気配はない。
レイは疲れていたのか、小さい寝息を立てている。
空を見上げると、日もすっかり暮れていた。
――少し休んでから、二人きりの食事を終えた。
「結局来なかったな。」
「どうしたんだろうね。」
周りからは虫の鳴き声すら聞こえない。
静寂が全てを支配していた。
まるで世界が僕達二人だけしか存在していないような錯覚さえ覚える。
空を見上げると無数の光点が辺りを照らしている。
「不思議だよね。」
「ん?」
「あの光点だよ。」
僕は空を見上げながらそう言った。
限りのある世界。
天に映っているものは幻。
その先には世界同士の境界線しか存在していない。
「お前、意外とロマンチストなのか?」
そう笑って返された。
「幻影に名前があるなんておかしいだろ?」
昼夜という概念は人間達の安定のために作られたもの。
しかし、それは当たり前のように生活に溶け込んでいる。
当たり前すぎて誰も違和感すら覚えない。
誰が生み出したのか。
どうして、そう呼ばれるようになったのか――
「もしかしたら…・・・」
「ん?」
”――誰かがこの世界をを望んだのかもな”
やれやれ、どっちがロマンチストなのやら。
~アジダ島~
ラタトクス学園の北東に存在する無人島。
昔は生徒達の演習等に使われたが、今では立ち入り禁止となっている。
満潮の関係で学園側から歩いて向かう事も可能である。
立ち入り禁止になった背景に、何かの実験をしていたという黒い噂もある。




