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夏休み3

木々が生い茂る中をひたすら前に進む。



「あつい……」



日陰を歩いているものの、まるで熱帯のような蒸し暑さが容赦なく襲ってくる。



「すまない、何か飲み物はあるか?」



額から汗を流しながらレイが尋ねてくる。

僕は背中に背負ったリュックから水筒を取り出した。



「レイ、顔色が悪いけど大丈夫。」



水筒を受け取ったレイは軽くふらついている。

顔色もよくない。



「大丈夫だ。」


「いや、少し休んでいこう。」



もはや耐久遠足にきたような感じになっていた。

当初の予定とはなんだったのか。



「予定のキャンプ場所までまだあるなぁ……」



僕は兄さんに渡された地図とにらめっこをしていた。

正直アバウトすぎてよくわからない。

――このへん とか印がしてあるし。


レイは日陰で木にもたれかかっている。



「すまないな……」


「気にしなくていいよ。」



しかし、なんだろう?

さっきから妙な既視感を感じる。



”大丈夫か? ――は身体が弱いからな”



ん……?


――気のせいだろうか。



「それよりさ、レイって身体弱いの?」



なんとなく、そう尋ねてしまった。



「昔はな……」



そう答えが返ってくる。



「今は?」


「多少体力に難あり、という所だ。」


「へぇ……」



そういえば、レイとはこういう他愛のない会話をするのは初めてかもしれない。


せっかくの機会だし、色々と話してみよう。



「ここに来る前はどうしてたの?」


「ふむ、今とそう変わらないな。 書物を読み漁ったり、訓練をしたりだな。」



確かに今と変わらない。

毎日見ているが、本当にやる事が無いってくらいに勉学のみに励んでいる。



「ん~ ほら、趣味とか無いのかなって。」


「趣味か……」



少し考えこむように俯き、しばらくしてから顔をあげた。



「ないな。」



あ、その……

考えても出てこなかったわけね。



「そ、そっか。」


真顔でそう言われてしまってはそれ以上は突っ込めない。

なんだろう、会話のキャッチボールがうまくいっていないような。



「もう大丈夫だ、そろそろ出発しよう。」



そう言ってレイは立ち上がった。


結局、それほど話を聞くことはできなかった。

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