夏休み1
あつい……
外からは蝉の鳴き声が絶えず聞こえてくる。
冷房の故障した、地獄の教室の中で動く気力を完全に削がれていた。
「なぁ葉助――夏休みどうするよ?」
「特に予定はないな~」
そう、僕達は夏休みで青春を謳歌できるようなリア充ではないのだ。
野朗二人で出かけても空しさだけである。
「どうした?」
机に突っ伏している僕達を見て、レイが話しかけてきた。
「夏休みの予定についてさ。 レイは何か予定あるの?」
「いや、私は特に無いが。」
これは予想外。
大方、予定ぎっしりだと思っていたのだが。
「やぁ青少年、青春してるかい?」
そんな会話の中、急に教室の中へ兄さんが乱入してきた。
「こんな所に何しにきたんです?」
寮の手伝いや新しい仕事探しで忙しいはずの兄さんが、何故ここにいるのだろう?
まぁいつもの如く、そういう気分になって来たのだろうが。
「いやぁ~、君達に青春を分けに?」
『……』
その一言に場の空気が凍りついた。
「いや、一斉に黙らなくても……」
焦りながらもポケットから地図を取り出した。
「この島にさ、皆でキャンプでもしようかってお誘いなのさ。」
「そういうのは最初から言ってもらえませんか?」
「――すまん。」
申し訳なさそうに兄さんが謝る。
お誘いは嬉しいがそういうノリはちょっと……
「レイと健司はどうする?」
「予定もないし私も行くぞ。」
「俺も特に予定はないしな。 折角だから誠先輩に特訓してもらうぜ!」
それってキャンプに出かけなくてもできるんじゃ……
ともあれ、僕達の夏休みの予定が急遽出来上がったのであった。




