柊誠という男2
「俺、感激です!」
健司は感動に打ち震えていた。
入学式早々仲良くなった彼だが、どうやら兄さんの事を知っていたらしい。
問題児だとはいえ、優秀な人なのは間違いないのだ。
「そう硬くなるなって、健司君だっけ?」
「は、はい! 是非俺を弟子にして欲しいんです! 先輩は俺の目標で憧れで――」
「ストップ、すとーっぷ! 気持ちは分かったから!」
健司の勢いに、流石の兄さんも困っている。
こんな兄さんを見るのは初めてかもしれない。
「今度会う時に特訓メニュー作っておくからさ、それで納得してくれ?」
「わかりました!」
あぁ、絶対嘘だろうなぁ……
「そうだ弟よ、最近の調子はどうだ?」
「どうって?」
「魔法の鍛錬だよ、あれから上達したかな~っと思いましてな。」
「別に……」
「ふーん。」
―――
――
―
朝食を食べながら、そんな少し古い記憶を思い出していた。
――今日の食パンは少し硬い。
「見よ、これぞありがたーい特訓メニューであるぞ!」
「ははっ、ありがたき幸せ!」
朝からバカ二人が何かやっているようだ。
って、あの約束覚えてたんだ。
珍しい……
正直言うと、僕は兄さんが嫌いなのだ。
これから、毎日顔を合わせるとなると頭が痛くなる。
早々と朝食を食べ終え、僕は食堂を後にした。
~ラタトクス寮~
生徒や教師用に学園側が用意している寮。
学園敷地内に設置されており、その規模は全生徒を収容できる程である。
生徒寮は学年毎に区画が分けられており、10階建ての建物となっている。
大浴場や食堂も完備され、働く人員も学園側が厳しく審査している。




