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柊誠という男1
夢を見ていた。
それはぼんやりとしていて、目覚める頃には忘れてしまう儚い夢。
繰り返される毎日。
繰り返される映像。
まるで録画されたホームビデオを毎日見せられているような気分。
――誰が?
繰り返される毎日。
繰り返される映像。
――誰の?
「ねぇ、今度はいつ帰ってこれるの?」
――それは誰の言葉?
「今度もすぐ帰ってこれるさ。」
――それは誰の返答?
分からない。
俺は、僕は、私は……
何者なのか。
「兄さんおはよ。」
「おはよう弟よ!」
いやぁ、朝から元気だなぁ。
そう思いながら食堂の席に着く
珍しく真面目に仕事をしているようだ。
兄さんは昔から気分屋だ。
天気のようにコロコロと気分が変わっていく。
子供の頃はそれでよくイラついていたのを覚えている。
あげると言った玩具を返せと言ったり、遊びに行こうと予定を立てれば直前でやめると言ったり……
両親が離婚してからは、疎遠になってしまったのだが……
最後に会ったのは、確か入学式の後だったか――




