幽霊の正体2
「ま、待ってくれ! 警察だけは勘弁してくれ~!」
見覚えのある男がうずくまっていた。
「兄さん……?」
そう、彼の名前は柊 誠。
この学校の卒業生であり、僕の兄だ。
「お、お前ら!」
「なんでこんな所に?」
「いや、まぁな。」
記憶通りなら、その才能を買われて市役所勤務になったはずだが。
「先輩まさか……」
兄さんは確かに優秀なのだ。
優秀なのだが……
「――それ以上は言うな。」
もの凄く、お馬鹿なのである。
まさに天才とアレは紙一重を地でいく人物である。
「うわぁクビになったのかよ!」
空気を読まずにそう告げる健司。
その台詞にぅぅ、と兄さんが唸りはじめた。
「……」
レイが話についていけずに黙りこくっている。
――しまった、 一人だけ新参であるレイには先輩の事は分からなくて当然だ。
「えっと、彼は柊誠。 ここの卒業生で僕の兄さんなんだ。」
ほほぅ、と相槌をうつ。
「しかしその卒業生が何故ここに?」
もっともな意見である。
しかし理由は健司が先ほど……
「あんまりだ。 絶望した!」
後輩の心ない言葉に発狂しかけている兄さん。
その時だった。
背後に宙に浮く生首が――
『うわぁぁぁぁ!』
―――
――
―
結局幽霊はいなかったという事でこの件はケリがついた。
最後に現れたのは寮母さんで、騒いでた僕達を驚かそうと現れたらしい。
なんともまぁ……
予想通りの成果があがらず、健司はいじけモード。
レイはレイで、いつもと変わらずに過ごしている。
僕も何一つ変わらず日常を過ごしている。
あぁ、兄さんだが……
寮母さんに頼み込んで部屋を一つ貸してもらえる事となった。
その代償に寮の仕事の手伝いをさせられている。
まぁこれはこれで良かったのでは? と思う。
季節はもうすぐ真夏にさしかかろうとしていた。
僕の脳裏には、あの言葉が今も反響している。
”あいつを信じてはダメ”
~ラタトクス学園~
ヴィランの中央都市、魔道都市ヴェネティアに存在する最大規模の魔法学園。
実力ある生徒しか入学する事を許されない最難関の学園でもある。
それ故に、卒業生はほぼ全員がエリート出世コースを約束されている。
この学園の創設者は3賢者の一人、カスパ・ラグナールである。




