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幽霊事件1
夢を見ていた。
それはぼんやりとしていて、目覚める頃には忘れてしまう儚い夢。
「ねぇ、今度はいつ帰ってこれるの?」
「そうだな、お前がいい子にしていたらすぐだ。」
そう言って青年は少女の頭を撫でた。
少女はいつものように、気持ち良さに目を細めた。
「では行ってくるよ」
一瞬だけ触れ合うお互いの手のひら。
その感触が、やけに現実味を帯びた感触だった。
”力を貸してあげる”
急速に意識が覚醒した。
「おい葉助? 聞いてるか?」
目が覚めると健司が心配そうにこっちを見ている。
「ん……?」
「どうした、疲れてるのか?」
どうやら話を聞いている途中で寝てしまっていたらしい。
何か夢を見ていたような気がするが――思い出せない。
「ごめんごめん、それで何の話だっけ?」
「だーかーらー! 出るんだよ!」
「えっ……?」
ゴホン、と一度咳払いをする。
「幽霊だよ。」
――はぁ、その手の話だったか。
「この寮に出るらしいぜ、幽霊がよ!」
突拍子もない話で盛り上がる健司。
何かトラブルめいた話が好きなのは知っていたが幽霊ねぇ……




