試験の後で――
夢を見ていた。
それはぼんやりとしていて、目覚める頃には忘れてしまう儚い夢。
手で触れると消えてしまいそうで……
「……」
目が覚めた。
おぼろげな意識が徐々に回復していく。
そしてここが保健室だという事に気づく。
「――あれ?」
確か試験の最中だったはずなのだが。
なぜ保健室で寝ているのだろう。
順番に気絶する前の記憶を整理していく。
今日が試験だった事。
相変わらず健司が無鉄砲だった事。
そして、変異した火内先生の事。
――そうだ!
慌てて辺りを見渡す。
隣のベッドには健司が眠っていた。
いない。
レイがいないのだ。
――ガラガラ
保健室の扉が開く音が聞こえる。
ぁ……
「む、目が覚めたか?」
保健室への来訪者はレイだった。
姿を見る限りどこにも怪我はなさそうだ。
「無事だったんだね!」
彼が無事な事に安堵する。
レイはその僕の反応にあきれたように首を振る。
「あれだけ魔源を消費しておいてよく言う。
下手すると死んでいたのはお前だぞ?」
えっ?
レイの一言に思考が停止する。
どういう事なんだ……?
まったく身に覚えのない事である。
僕はあの時気絶して――
ドクン!
――キゼツシテイタハズ
そう、僕は……
―――
――
―
薄暗い部屋の中で二人の男が密談を交わしている。
一人は椅子にもたれかかり、もう一人はその正面に立っている。
「首尾はどうだ?」
座っている男が尋ねる。
「ただいまデータの解析中です。」
そうか、と言って男は唇は吊り上げる。
「我々の悲願を叶えるため、ミスは許されんぞ?」
「わかっております。 失敗作の処理も済ませておきました。」
そう言って男は火内一男の写真と資料を机に置いた。
まぁ、死体は跡形もありませんでしたが、と付け加える。
「失敗作も少しは役に立ったようだな。 では、次のフェーズに取り掛かれ。」
「御意……」
男は部屋から退出し、椅子の男だけが残る。
「もうすぐだ、もうすぐ……」
~魔源~
体内のエーテル器官より精製される物質。
血液と共に血管内を流れている。
脳でのイメージと音声がトリガーとなり、魔源を消費して魔法を行使する事が出来る。
魔源が枯渇すると魔法が使えなくなるが、エーテル器官から生成され続けるため時間が立てば再び魔法を使う事が出来る。
しかし、短時間に大量消費する行為は身体への負担が大きく危険である。
音声はあくまでもトリガーで、重要なのはイメージのため、世界によって魔法の詠唱、名称が違う事が多い。




