思いのままに1
夜道を駆け抜け、俺は屋敷の前まで戻って来た。
夜の屋敷は昼間と比べ不気味さを増している。
「いい加減出てきて下さいよ。」
「……」
後ろの茂みから銀華さんが出てくる。
宿からずっとついて来ているのには気づいていた。
「どうしてついて来たんですか。 これは俺の問題です。」
「私には関係ないな、勝手についてきただけだ。」
「そもそも貴女には!」
「それは私が決める事だ。 お前への借りを返してからゆっくり考えるさ。」
どうやら意地でも戻る気はないようだ。
俺はため息をついて歩き出す。
銀華さんもその後ろに続いた。
「やはり玄関の扉は開かないか。」
「隣の窓を割って入るか?」
そう言って銀華は窓に向かって銃口を向ける。
「少々手荒だが、問題ないか。」
「よし、いくぞ。」
そう言って2発銃弾を撃ち込む。
張ってあった魔法障壁を貫通し、窓ガラスが砕け散る。
そこから屋敷の中に飛び込み、背中合わせて周囲を確認する。
敵影なし、魔源の反応もなし。
レイ、どこにいる……
「微量だが魔源の反応がある、3階だな。」
「罠の可能性は?」
「それにしては微量すぎる。 しかし、警戒するに越したことはないな。」
「なら行きましょう。」
フェンリルのグリップを握りしめ、ホールの階段を駆け上がる。
相変わらず人の気配は感じられない。
通路に何体もの甲冑が飾られている。
「この先だ。」
その言葉に背を押されて、俺は前に進む。
きっとこの先に――!
目の前の大きな扉を開け放つ。
「葉助!」
そこには、磔にされたレイがいた。




