生きていた主3
”彼女を守りたい”
その気持ちで僕は戦ってきたんだ。
そうだ、そのために人だって殺してきた。
全ては彼女のため、そう自分に言い聞かせて来た。
”なら、僕の本質とはなんだ?”
僕は彼女にとって何なのだろうか?
僕は、どうしたかったんだっけ?
――
―
「おーい、聞いてるか?」
「――え?」
「お前が居眠りなんて珍しいな。」
そこは見慣れた教室。
横にはレイと健司がいた。
「レイ、健司……」
「なんだぁ、変な夢でも見たか?」
そうか、夢か――
今までのは悪い夢、そうさ夢だったんだ。
「大丈夫か葉助?」
レイが心配そうに僕を見ている。
良かった、あれは全部無かったんだ。
これから僕は、また楽しい学生生活を――
「あれ、おかしいな……」
涙が溢れてくる。
ちっとも悲しくなんてないのに。
「なぁ葉助、お前はどうしたい?」
「な、なにを?」
いつになく神妙な面持ちで健司が語ってくる。
「これからだよ、卒業したら何したい?」
「そ、卒業なんてまだまだ先だろ!」
「葉助、何を言ってる? 卒業式は半年後だぞ。」
レイが呆れたように言う。
え、卒業?
だって僕達はまだ1年で――
「俺さ、誠さんの元で働く事になったんだぜ!」
「やるな健司、私は父の助手をする事になった。」
「親のコネかよ!」
知らない、こんなの僕は知らない。
「で、葉助はどうなんだよ?」
「僕は……」
二人は僕を見つめて答えを求めている。
違う、僕は……
「まさか、何も決まってないわけじゃないだろ?」
「葉助、早く教えてくれ。」
「――何も無かったんだ。」
そうだ、無我夢中で、何も考えてなくて……
ただ君だけを見ていた。
そんな学生生活だったなぁ。
なのに今の僕は、建前だけのつまらない男になってしまった。
レイの記憶の事も責任を感じて、何かと遠慮してしまう。
そして一番は、自分はユニスの代わりでしかないという思いだ。
真実を知らなかった当時の僕には、そんな遠慮は無かった。
「これが、僕の嘘か。」
そうさ、代役を全うするために自分の気持ちを閉じ込めた哀れな男が僕だ。
「やっとわかったか兄弟。」
「やっと本音が言えたわね。」
目の前にいた健司とレイの姿が変化する。
どうやら僕のためにお膳立てをしてくれたようだ。
「うん、僕の気持ちを思い出せたよ。」
「なら、やる事は分かるな?」
「あぁ、分かる。」
そうだ、僕は――
”彼女が好きなんだ”
ユニスのためとか、戦わせたくないとか、そんな建前は関係ない。
惚れた女のために戦う、それだけだったんだ。
なら、やる事は決まってる。
あいつが本物のユニスかどうか、そんな事”どうでもいい”。
惚れた女を取り戻すだけだ!
例えそれが、彼女を悲しませる事になってもいい。
もう考える事はやめる、今はこの思いに素直でいたいんだ!




