新天地へ2
「俺の任務は貴女を守る事です。 自殺に加担は出来ません。」
「私に刃向かうのか!」
晧月さんは何か考え込むように瞳を閉じる。
長く感じる沈黙の後、彼は目を見開いた。
「死んでいった者達のため! 俺は命を懸けて貴女を止めます!」
「晧月……」
「それでも行くと言うなら、貴女を気絶させても止めますよ。」
「ククッ……あはははっ!」
銀華さんは笑った。
腹を抱え、涙を流しながら笑っていた。
それは俺が、今まで一度も見た事のなかった表情だった。
「はぁ、そうか、そういうつもりなんだな?」
「はい。」
「わかった、お前の好きにしろ。」
「ありがとうございます!」
そう返事をすると、晧月さんは部下を集めて指示を始めた。
銀華さんが俺達の前に近づいてくる。
その表情は、いつもと変わらないものに戻っていた。
「おい葉助。」
「な、なんでしょうか?」
「どうせ逃げるなら、思い切って遠征しないか?」
「え、遠征?」
一体どこに?
そんな疑問が頭に浮かぶ。
「そうだな、ロキアまで行くというのはどうだ?」
その言葉に、カスパと話していたレイも反応した。
確かに、仕事が終わった後でロキアまでの移動をお願いしようとは思っていた。
時空龍である彼女ならば、簡単に境界線を越えて境界移動可能であるからだ。
しかし、このタイミングでその名が出てくるとは思わなかった。
「本気なんですか?」
「行きたかったんだろ? 私も暇になったし問題ないぞ。」
願ってもない申し出だが、この状況下でそれはどうなのだろうか?
これから時空龍達を迎撃をしなければならないのに。
「それに、撤退組にはお前も含まれているからな? 撤退ついでの遠征だ。」
「なんで!」
「私がそう決めた、お前はさっさと準備をしてくればいい。」
「――はい。」
そう、俺は命令に従うしかない。
状況に流されるだけで、何一つ選択出来ないのだ。




