あの日の記憶2
さて、この狭い医務室でどう立ち回るか……
出入り口は、先ほどこの女がぶち壊した扉の場所だけである。
――よし!
”バブルボムⅢ”
水の泡を四方へと拡散させる。
機雷として機能させる事で相手の動きを抑制するのが狙いだ。
「うざったい!」
”フレイムストームⅢ!”
火と風の複合魔法を放ってくる。
威力は先程身を以て体験している、二度も食らうわけにはいかない。
”ブリザードⅢ”
本来ならば吹雪で攻撃する魔法だが、あえて自らの周辺へと発動する。
炎の嵐は勢いを弱め、私の魔法障壁で無力化できるレベルになる。
バブルボムの位置を動かしながら、相手の懐へと近づく。
「ガキが、目障りなんだよ!」
明らかにメルは苛立っていた。
その感情が、彼女の魔法の冴えを鈍らせる。
それが大きなスキとなるのだ。
「起動――!」
周囲のバブルボムを一気に爆発させる。
その爆風を防ぐためにメルは魔法障壁を展開した。
私はそのタイミングを逃さなかった。
「ぐげっ!」
大きく跳躍し、相手の顔面を踏み台にする。
汚い悲鳴が聞こえたが、気にせず出口へと跳躍する。
「私はな、言った事を必ず実行する主義なんだ。」
”タイダルウェーブⅢ”
水属性最大の魔法を解き放つ。
メルは水流の渦へとそのまま飲み込まれる。
”アイスウォールⅠ”
出口に氷の柱で蓋をする。
あの女もこれで終わりだろう。
「さすがカスパ殿のご息女、天才と呼ばれる事はある。」
「――誰だ。」
一部始終を見ていたらしき男が、拍手をしながら目の前に現れた。
間違いない、こいつは3賢者の――
「バルト・ザーフィル……」




