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惨劇、そして――
炎が唸りをあげ、真夜中の闇を照らし出す。
辺りには真っ赤な絨毯が敷き詰められ、吐き気を催すような匂いが充満している。
そこで二人は対峙していた。
「さあ、今こそ。」
青年は真っ赤に装飾された剣を少女へと突きつける。
「どうして!」
少女は涙を流しながら訴える。
少女の足元には彼女の両親が真っ赤な絨毯の上で寝そべっている。
「俺はお前が欲しかった。 自分だけのものにしたかった。」
青年は狂気に満ちた笑顔で語る。
少女は、この青年がもう自分の知ってる兄ではないと悟る。
「貴方は誰……?」
その問いに青年は行動で答えた。
「今こそ愛の契りを!」
青年はその血濡れの剣を……
――少女へと振り下ろした。