ポ=poem
ページを開いて下さりありがとうございます。
梅雨も開けて、とっても暑い日がやってきました(@_@;)
蝉の鳴き声がとても心地いいのは私だけでしょうか?(--;)
夏にしか見れないものや感じるものを、しっかりとポケットに仕舞い込んでおきますね
(*^_^*)
ちりりりー起きてー!起きて起きてー!
携帯の目覚ましがうっとおしく鳴っている。
「うーん、眠いよー!」
ちりりりー起きてー!起きて起きてー!
2回目の目覚まし鳴る。
「うーん、解りましたよ!」
私は夜のバイトで、身体のバロメーターが逆さになってしまっていたので、この頃から疲れが出始めていた。
だが、バイトを辞めるわけにはいかない、なぜなら、紗奈さんや店長さんに随分お世話になっていたからだ。
「さてと・・・・おはようまりもちゃん・・・・」眠いよ(-_-;)
「うん?ラインが入ってる・・・・・?蓮斗、えー!蓮斗」
『今週、土曜日、楽しみにしてるからなっ!絶対に来いよ(^^)v来ないと迎えにいくぞー!』
うそっ!
はぁー(-_-;)行かないといけない感じになってきてる。
由井の事が気になって仕方がない。きっと私が行くと今の生活を根掘り葉掘り聞いてくるだろう。そして、きっと私の姿を見て笑うだろう。
「まりもちゃーん!どうしたらいいのー?」
返事はないまりもだけど、見てるだけで癒される。
「いけない!モデルのオーデション申し込まなきゃ、もうすぐ締切だったはず」
ネットで申し込みをする、某有名雑誌のオーデジョンがあるのだ。度胸試しの為に受けることにしていた。
全身の写真とアップの写真を乗せなきゃいけない。
とにかく、やってみようと思った。
毎日バイトに行き、毎日歩き、毎日野菜サラダを食べ、そして毎日まりもと話した。一日たりともこれだけは守り続けていた。
そんな日常を送っていると、日が経つのが妙に早く感じられていた。
とうとう土曜日が来てしまった。
蓮斗に誘われたのは嬉しかったけど、着ていく服もない。東京に出てきてから服を一度も買ったことがなかった。とりあえず、田舎から持ってきたお気に入りのワンピースを着てみた。
「あれー、ぶかぶか・・・うそっ!」
びっくりした。前にはファスナーを上げるとピチピチで張り裂けそうだったワンピースがベルトをしないとマタニティーをきているようだった。ベルトをして空いてる部分を誤魔化した。
バイトを始めて休んだ。
紗奈さんと店長さんは快く休むことを了解してくれた。
「はぁー、まりもちゃん、今日はとっても嫌な日なんだ・・・」
嫌だと思う時間まではあっという間だった。
「まりもちゃん・・・・・行ってきます」
お化粧もつけずに髪を1つに束ね出ていく。
「メール?」電車内で開いて見た。
「えー!えー!」
周りの人に冷たい目で見られた。余ほど叫ぶ声が煩かったのだろう。
真っ赤になった顔を下に向けて、そしてもう一度メールを確認してみた。
オーデション、一時審査合格通知だった。
夢のような出来事に、心臓がバクバクと音をたてて鳴り始めた。
(うそ、うそ、うそ、うそー!)
何回でも疑うことができた。
一次審査でも、まだ二次がありそして最終にいくのだから、まだ道は遠いと心臓へいって聞かせた。
(そんなに驚くことはないよ、まだまだなんだから!)
少し落ち着いた時、丁度駅に到着した。
場所は渋谷の゛なごみ″だったよね。
駅から歩いて5分の所と聞いていた。駅をでてキョロキョロしていると、誰かが肩をたたいた。
「よっ!瑠菜!」
「・・・・・れ、漣斗?」
「行こうぜ」
蓮斗が手を繋いで引っ張った。
「えっえー!ちょっと、ねえ・・・」
「瑠菜!女の子に言うと失礼かもしんないけど、痩せたなぁ」
「えっ?・・・・うん、まあ、少しね」
「モデルの応募とかしてんの?」
「う、ううんーーーーうん」
「そっか、頑張れよ」
たった今の出来事を話したくても、まだ疑っているので話せなかった。
手を繋いでいる事が気になり、落ち着かない。
「ここ、ここだな」
「ねえ、手!」
「えっ、ああ、瑠菜、ひっばんないと遅いだろ」
「まっまあそうだけど・・・・」
認めた。
蓮斗が手を繋いできてくれたことはとても嬉しかった。
また胸がときめいてしまう。ダブルの胸のトキメキはかなり心臓に負担がかかっていることだろう。心臓がハートの形をしているならば、きっと風船のようにぱんぱんに脹れてしまい、ハートの形なんてなくなってしまってるのだろう。
だけど蓮斗には彼女がいるし、ましてや私みたいな子に好意を持つわけがないと思っていた。
「おい!瑠菜、何やってんの( -_・)?」
「あっ、ごめんなさい、すぐ行くね」
2階だ、この階段を上がると皆いるんだ、そう、由井も。
「なあ、瑠菜、ちょっと皆に会う前に言っておきたいことあるんだ」
階段を上がり始めたときに蓮斗が急に立ち止まった。
「言いたいこと?・・・・えー!私何かした?ーーーーえっと、まりもちゃんは元気だよーーーーあわあわ・・・」
「なんでいちいち慌てんの?」
蓮斗が笑った。(カッコいい!いやっ!そんなことじゃなくて!)
「何?」
「あっ、その・・・・俺な・・・・」
「う、うん」
「高校の時から、ずっと瑠菜が好きだったんだ」
何をいっているのか理解ができなかった。
「・・・・・・・」
「いや、またそんなに目をくりくりさせて驚く!」
「いや、あの、その、私は瑠奈ですよ、誰かと間違ってませんかー!?」
「うっ、うっうあっはっはっはー!」
「さすが瑠菜!答え、面白すぎるよ」
まだ笑っている漣斗。
「ねえ、漣斗!あの時会った、ほら、その・・・凄く綺麗な彼女がいたよね?」
「ああ、あの子な、とっくに別れたよ」
「えー!そうだったの?」
「ああ、俺な、瑠菜を忘れようとしたんだ・・・・瑠菜の夢はモデルだろ、だから邪魔したくなくて、気持ちを伝えなかったんだよ、そしてなんとなくサークルで知り合った子に告白されて、何となく付き合ってたんだけどな、瑠菜に会ってからはどうしてもダメでな」
「そ、そんな・・・・デブでブスで、なんの取り柄もない私?漣斗って目が悪いの?」
「ぽっちゃり最高!目がくりくり最高!なんてったって、本当の優しさ、最高!ーーーーーこのくらいでいい?でもモデルになるために痩せた瑠奈は最高の頂点だよ」
「・・・・・・・いや・・・・・もっと言わないと解らない!」
瑠菜の目に涙が溜まり、頬を伝った。
「ありがとう」
「でっ!今この時から俺の彼女でオッケーかな?」
コクりと頷く。
蓮斗は両手で私の頬っぺたを包んだ。
「瑠菜、きゃわいい!」
(もう、心臓さん!ごめんなさい!でも止まらないで、じゃないとこの幸せがどっかに行っちゃうよ)
「モデルの夢も応援してるからな!」
「うーーーーうん、ありがとうね」
涙を拭い、店に二人で入っていった。
暗い夜道から太陽の光が射す道を歩き始めたような感じになった。
「あー!蓮斗、遅いよ」
大きな声で叫ぶのは由井だった。
「ごめん、ちょっとな!おうっ、皆揃ってんだーーーー早いなぁ」
「蓮斗が遅いんでしょ!」
髪の毛が三色【ピンク、紫、シルバー】の由井が大きなリアクションをつけながら言う。
「・・・・・・・・?」
私に気がついた。
「蓮斗、誰?・・・・・・・えっ?えー!」
そんなに驚かなくてもいいと思うほど驚く由井。
「瑠菜!?」
波野が席を立ち私に飛び付いて抱き締めた。
「瑠菜ー!会いたかったんだよ・・・・すっかり綺麗になって、嬉しい」
「波野・・・さん、元気だった?私も会えて嬉しい」
「瑠菜・・・・・痩せてる・・・・しかも顔も変わったよね」
(嘘!こと美?)
「何で?どうしたの?こと美・・・・」
「そうなんだよね、ごめんね、本当は瑠菜に連絡しようと思ったんだけどね、由井にラインしたら、うちにおいでっていうからね」
少し嫌な気持ちだった。それにもうかなり標準語になっていること美に違和感を感じてしまう。
「あっ、うん、そうなんだ」
「まあ、とりあえず座って!再会に乾杯しようぜ」
同級生の近藤 武司が言った。
武司は東京のIT企業に入社する夢を持ち、今大学に通っている。
「そうだな、とりあえず乾杯ね」
由井が私の顔から目を離さないまま言った。
ノンアルコールのビールやノンアルコールのカクテルが運ばれてきた。そう、私たちはまだ未成年だからアルコールは飲めなかったのだ。
「じゃあ、蓮斗、乾杯の音頭をとって」こと美が言った。
「あっ、おうっ!それじゃあ、みんなの再会にかんぱーい!」
「かんぱーい!」「かんぱーい!」それぞれにグラスをつけた。
こと美と由井が私だけのグラスを合わせてはくれなかった。そう避けたのだ。
「・・・・あれ?こと美と由井、せっかく瑠菜来たのに、グラス合わせるの忘れてるぜ」蓮斗がさらりと言った。
「あっ、なんだか一斉にしたから解らなかったよ」
惚けている由井がいた。私はグラスを近ずけた。だけどよけたのだった。そう、こと美もだった。
(何がいけなかったのだろう・・・・いや、2人ともわざとじゃないよ、きっとね)
自分に言って聞かせた。
「ねえ、瑠菜、バイトは大丈夫だったの?」
「う、うん、ごめんね、せっかく由井が誘ってくれてたのに、断っちゃって・・・あれから蓮ーーーーー」
(そうだ、それだ!私は由井に一度断っていたのだ・・だから由井は怒ってるんだ)( -。-) =3
(でも、こと美まで・・・・なんで?それに、私の携帯知ってるはずなのに、一度も連絡なかったのに、由井には連絡してたんだ・・・・少し悲しい)
「ねえ、連斗!それより彼女は?」
続きの言葉は無視された。
「いるよ」
「えっ!?」
「別れたって・・・・ねえ、この前そう言ってなかったかな?」
「いやね、たった今、告白したらオッケーもらったんだ」
顔が真っ赤なった。でも誰も私には気かつかないだろう。
「どうせまた別れちゃうんでしょ!蓮斗には都会の子は似合わないわよ!それよっかさぁ、後で話あんだけどいいかな?」
チラリとこと美を見た。
「別にいいけど・・・・5分くらいならな」
「何?その5分って?」ムッとする由井。
「でも瑠菜、おまえ本当に瑠菜なのか?モデルみたいだよなー」
武司が瑠菜をまじまじと見て言った。
「だよね、でもさすが頑張りやさんの瑠菜だよ」
波野が重ねて誉めてくれた。少し照れくさい。
「何か変な薬でもしてんじゃないー!大丈夫?瑠菜」
「何言ってんだおまえ!」蓮斗、怖い顔をして言う。
「ああ、ごめんなさーい!だってこんなに急に痩せたらね、誰だって思うよ」
「ねえ、瑠菜、今は何処に住んでるの?」
やっとこと美が話しかけてきてくれた。
「う、うん、池袋、バイト先の人が探してくれてね」
「ふーん、そうなんだ」
「こと美は?いつからこっちに来てるの?」
「うん、一月前かな、由井とねラインしてたら、良い店あるからこっちに来てみないって言われてね、意を決してきたんだ」
「そっか・・・・」
「あっ、あの、ごめんね、でもね、由井の方が東京の事詳しいみたいだったから・・・・それに瑠菜の事も聞いてたから・・・」
「何て?」
「あっ、その・・・・・」
チラリと由井を見ると、武司と由井と蓮斗と波野は、何やら盛り上がっていた。
「もしかしたら、瑠菜はホームレスになってるかもって・・・」
「・・・・・・ホーホームレス?」
「ごめんね、でも由井がそう言ったの・・・だから怖くて、瑠菜に連絡できなかったんだよ」
「・・・・・・ちゃんとアパートにいるよ、それに生活もちゃんとしてるよ」
「う、うん、ごめんなさい!」
こと美は下を向き、それ以上私とは話をしたくないように見えた。
「こと美、大丈夫だよ、頑張ってね」
下を向いたままのこと美は、目を合わさずに頷いた。
2時間が過ぎ、波野が親戚の人に心配かけたらいけないと帰ることを告げた。
私もその言葉を借り一緒に出ようとした時。
「瑠菜、俺送るよ」
「・・・・・・・ちょっ、ちょっと待ってよ!蓮斗は2次回行くでしょ!って行かなきゃ」
「いや、俺帰るわ」
「・・・・・・・」
皆の沈黙に悟った武司が言った。
「今日はこれでお開きにして、次回また近いうちに集まろうぜ」
「えー!せっかくカラオケに行きたかったのにぃ」
由井が口を尖らせていた。
「まあまあ、また次回のお楽しみということでなっ」
さすが頭のいい武司は、上手く由井を説得していた。
「あっ、でも蓮斗、話あるんだ、ちょっといいでしょ?」
「ああ、なあ、瑠菜、ちょっと待ってて欲しいんだけど、大丈夫?」
この状況で、うん、なんて返事ができない。
「ねえ、さっきから何言ってんの?瑠菜は帰ればいいじゃない」
きつい、さすがにきつい。
「ねえ、瑠菜は蓮斗と同じ方向なんだよね、もうー、蓮斗ったらまたタクシー代うかそうとしてー、瑠菜のタクシーに便乗しようとしてるんだから」
「おっ、そうなんだよな、ばれたかー」
波野、なんて優しいんだろう。私は波野を本気で仲間はずれにされていた時に助けた訳じゃない。
なのに、かばってくれてる。皆が不愉快にならないように、これ以上、由井からの攻撃を受けないように。
「蓮斗ったら!やるじゃん!」
由井が嬉しそうに言った。
きっとこの会は2度とないだろう。
「とっ、言うことで、瑠菜、待つべし!」
「う、うん」返事ができた。
「じゃあ、瑠菜、その間私と一緒に待とうか?私は反対方向だからタクシーの便乗はできないけどね」
波野が笑ながら言ってくれた。
由井と、何故かしらこと美もついていき、蓮斗と話をしている。
気にはなったが、波野がいてくれたから、気をまぎらわすことができた。
でもやはり気になる。目でチラチラ追ってしまう。
「ねえ、瑠菜、蓮斗ね、昔から瑠菜、の事好きだったんだよ」
「波野・・・・・さん、何でそんなこと?」
慌てた。波野がそんな話をきりだしてくるなんて。
「瑠菜、瑠菜は本当にいい人だよ。私も瑠菜が大好きだよ!あっ、友達としてね・・・・」
「波野・・・・ありがとうね、本当にありがとうね」
「ようっ!お待たせ」
「もういいの?」
「だって5分って言っただろ」
「それじゃあ、瑠菜、またね!」
「うん、波野さん、ありがとうね。またね」
やはり由井とこと美が気になり少し離れた2人の方へ目がいってしまった。
(あれ?あれ?こと美・・・・泣いてる、由井が肩に手を置いて慰めてるよ、なんで、蓮斗、何かキツいこといってしまったのかな?)
「タクシーきたよ、瑠菜、瑠菜ったら」
「う、うん」
タクシーに乗り込むと蓮斗が手を握ってきた。
「蓮斗・・・・こと美の事、やっぱり気になるの、泣いてたから」
「えっ、ああ、っていうか、俺何もしてないぜ」
「じゃあなんで泣いてたの?」
「うーん、うーん、まあ、それは、その・・・・・」
「蓮斗!もうー」
「あっごめん、実は・・・・瑠菜だから言うけど、こと美と付き合ってくれと、由井から言われてな」
「う、嘘!こと美が?」
「ごめん!俺、泣かすつもりなんてなかったんだ、だけどな、変に気を持たせるのって嫌でね、とりあえず、無理です!と一言だけで・・・・そしたらな、冷たいとか、卑怯よ!とか言われてな、まあ、もう会うことも無いだろうと思って、そのままきたってわけ」
「・・・・・・・」
蓮斗が強く手を握りしめた。
もう考えないようにした。大人に近ずいている友と自分を見た。
「なあ、瑠菜、今日泊まっていい?」
「いいよ、ずっと一人だったからまりもちゃんも喜ぶよ」
「まりもちゃん?・・・・・あー、もしかして俺が渡した?」
「そうそう、かわいいよ」
「ありがとな・・・・大切にしてくれてるんだ」
蓮斗がいるから、何も怖くない。
蓮斗がいるから、楽しい。
蓮斗がいるから、もう涙はいらない。
読んで下さり、ありがとうございます。
今から、きっと、きっと暑い日が続くと思いますが、熱中症にならないように、お身体に気を付けてお過ごしくださいませo(^o^)o