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パ=Friend & parents

黄色い菜の花が 河原沿いに沢山 咲いていました。

やっと春ですね、と言える日が来ました。

この季節は 旅立ちのの季節で、寂しくもあり嬉しくもあり、複雑な季節かな?と思っているのは私だけでしょうか?



私、川口 瑠菜(るな)と言います。

年齢は 18才!高校三年生!

と、言えども 今日は 卒業式。


容姿といえば、かなり名前負け!

自己診断すると、団子鼻 目は細長く(色素が薄いため茶色) 口はおちょぼ口、少し取り柄かな?と思う所は色白に、身長165センチ!こんな説明を聞くと、おたふくさんを思い出すかもしれないが……まあ、似たような者かもしれない。

スタイルもよくいうぽっちゃり型、運動音痴、成績は中の下、お洒落には興味なし、なので、いつも髪は二つ括り、前髪パッツン!定番の眼がね、コンタクトレンズはアレルギーが有る為につけられなかったのだ。


ただ今、恋愛真っ最中~、なんて云いたいところだけど、恋愛なんて、一度もしたことがない。

ただ、片想いも恋愛の中に入るかもしれないけれど、三年間で一人だけ気になる人がいた……


そんな私も、なんとか高校生活を全うした。

今日は卒業だ、そう、いよいよこの高校生活ともさよならなんだ。

寂しい気持ちはあったけど、実は密かな夢があるので、この日を待ちにまっていたような気がする……


「瑠菜、はよ体育館に行くよ」

「うん、わかっとる」

そうそう、実は私の住んでいる所は 瀬戸内海が見える、和花な田舎なんです。

それと、今、私を誘いに来てくれているのは 私の三年間の親友、戸田 こと(ことみ)、彼女は 成績はまあまあだったが、テニス部で全国大会まで行き、見事 数回勝ち抜き、三位になった子だった。

容姿もスタイルも抜群!目は黒目と白目が8対2位の割合で、勿論、黒目が8 くりくりしていた。鼻はつんとした小鼻で、いわゆる、イケメンではなく、イケレディ?と言う感じだった。

スタイルは 身長155センチ、細身の身体 とにかく、男子が好む体型、容姿をしていた。テニスをしていたせいもあって、肌の色は 一年中日焼けの色をしていた。

こと美が何故、私みたいな冴えない子といてくれるのか 分からなかった。


「ごめん、シューズ探しとったんよ」

「もう、最後までおっちょこちょいやね」

「あはっ」

そうそう、自己紹介で伝えるのを忘れていましたが 私はとにかく、おっちょこちょいだったのです。


いよいよ、待ちにまった卒業式だ!


私達、三年生卒業生は 門に入り 下級生から胸に花の飾りをつけて貰った。

幼稚園から数えて四回目の卒業式だ。

父兄や後輩の拍手を浴びながら席についた。


来賓の祝辞。

卒業証書をクラスの代表が貰いに行く。

校長先生のお言葉。

学年代表のお別れとお礼の言葉。

そう!そうなんですよ、学年代表の この人が私の高校生活、三年間の片想いの人です。生徒会長さん!やっぱりいけてますね。


名前は 福森 蓮斗(れんと)

まあ、よくあるパターンで 成績優秀、スポーツ万能、顔はイケメン、まあ、私なんか御呼びではない方でして……

さあ、いよいよclimax!

卒業式の歌と言えば


仰げば 尊し わが師の恩 教えの庭にも はや幾年……♪


あー、この雰囲気 やっぱり、友との別れは悲しいよね……

生徒達や父兄達の、鼻を啜る音が体育館中に響いていた。


さて、いよいよホームルームだ、これがまた、涙々の最後のお別れの儀式だと 先輩からの噂で聞いていた。


卒業式の退場後、私達のクラスは体育館の一番後ろの所で集まった。

片想いの蓮斗も同じクラスだったので 最後まで見ていられるのが嬉しかった。

「瑠菜とこは お母さんもお父さんも来るん?」

「うん、来るっていよったわ」

「そうなんや、私んとこは お母さんだけやわ、お父さんは仕事なんよ」

そんな会話をしていると 私の両親、こと美の母がそれぞれ隣に座ってきた。

なんだか、恥ずかしい。


「あっ、ぐしゃ先生、来たよ!」

「やっぱり 寝癖ひどいね」

ぐしゃと言うのはアダ名でして、本当の名前は 野口 祐介(ゆうすけ)先生!

髪の毛がいつもぐしゃぐしゃなので 生徒達はぐしゃ先生と呼んでいた。

ぐしゃ先生と服顧問のせんせい、宮島先生がクラスの子達の卒業証書や、その他の記念品を うんしょうんしょと抱えて持ってきた。

とても重たそうだった…

先生達の最後の大仕事!個人で挨拶をする。


「ねえねえ、最後に一人ひとり挨拶するんだろ、どうしよ……」

「そうやねぇ、なんか泣いてしまいそうやねぇ」

「静かにしいや!」

私の母に叱られた。


先生が一人ひとりに賞状を渡し始めた。

うわー、何を話そうか……


「安藤 (かな)さん!」

「はい!」

叶さんが卒業証書を貰うと、皆に挨拶を始めた。

「野口先生、宮島先生、大変お世話になりました。私はバスケットをしていて 怪我を何回かした時には 顧問の野口先生は とても心配してくれてましたよね。気持ちがとても嬉しかったです。

みんな、私は広島の大学へ進みます。まだ、将来、何になりたいかは決まっていません!それで、親の脛をかじりながら、とりあえず大学生活四年間を全う出来るように頑張ります!また、会えるのを楽しみにしとるねーありがとうー!」

そう言って、目からポロリと涙を流し、目を擦りながら席に戻っていった。


「伊藤 友治(ゆうじ)さん!」

「はい!」

同じく卒業証書を貰い 挨拶が始まった。

「先生方、大変お世話になりました。できの悪い僕をそっと見守って下さり、感謝しています。僕は地元で就職をします。就職先は消防士です!夢が叶い嬉しいぞー!俺は救急隊員になるんじゃけど、用がないなら呼ぶなよ!

みんな!俺はいつでもここにおるけんなー、また会おうや!」

頭をペコリと下げて退場!

生徒と父兄からも どっと笑いがでた。


「江頭 由井(ゆい)さん!」

「はーい」

またまた、同じく卒業証書を貰い話し始めた。

「あー、えっと、私は東京へ行きます!大学ではありません、美容師の専門学校へいきますぅ、えっと、先生 お世話になりました。みんな、私は東京に行くんで、来ることあったら遊びに来てよ!美容師になったら 髪、カットしてあげるけんね!はい、こんな所で終わります」

手を振りながら席に着いた。


なんだか、夢に向かっていくわりには楽しそうじゃない様子だった。


私の番がきたらどうしよう……実は 私は大学も専門学校も、就職も決まってない!と、いうか 大学は 成績の悪さと、経済的な事情で 行かせてもらえる余裕がなかった。

横で母はきっと、私が何を言うのかドキドキしてるはずだ。

昔から、二人いる兄達のように勉強が出来ない私は 常に見放されてる様に思えていた。

それに、何かを発言すると、貴方は変わっているから あまり人前ではしゃべらない方がいい!なんて、そんなきつーい事を言われ続けてきた。

どうしよう……どうしよう……Σ(T▽T;)


「尾上 波野(なみの)さん!」

「はい!」

同じく卒業証書……

「先生方、クラスの皆さん、お父さん、お母さん!三年間ありがとうございました。私はこのクラスで本当に良かったです。実は一年生の時に、数人の方に少し虐められました……うーん、ごめんなさい、虐められたというか 少しの間 話をしてくれなかったような感じです」


えっ?波野さんが?知らなかった……

そうかっ!こと美が同じ中学で、そのまま虐めが続いていたって言ってたなぁ?あの子は 変わってるから話が噛み合わないのよ!なんて言ってたなぁ、とっ、すると こと美も虐めてたのかな?


話が続いた。

「でも、瑠菜さんが声をかてくれて、それから皆が話し出してくれました。瑠菜さん!ありがとうね!」

(´・ω`・)??えっ?えー?わ、た、しが……いつ?

話が続いた。

「覚えてないかも知れませんが、私が一人で教室で本を読んでいると 瑠菜が私に、その本 面白そうだから私も読みたいので終わったら貸して欲しいと……私は自分の好きな本を誰かが共感して借りてくれるなんて、すごく嬉しかったです。それからは 瑠菜が私に毎日話しかけてくれたので、クラスの人達も少しずつ話しかけてくれるようになり、三年間が楽しく過ごせました。瑠菜、みんな、ありがとうね、私も東京の短期大学へ進みます。歯科衛生士になりたいという夢に向かって進んで行きます!また、偶然にでも合ったら声かけてね」

そう言って 波野は私に微笑みながら席に着いた。


何人かがすすり泣いていた。

私は……ただ、その本を読みたかっただけだった……


「すごいねぇ!さすが 瑠菜!私も瑠菜が好きよ」

こと美が腕をつんつん、つついてそう言った。

こんなことで誉められても……行き先の決まらない 皆みたいに夢についても語れない……語ると笑われる……そんな私がやはり誉められても嬉しくなんかなかった。

どうしよー!

あー、私の番だ(((((((・・;)


「川口 瑠菜さん!」

「はっ、はい!」

どっと笑いが出た!返事しただけなのに……

えっ!蓮斗と目があった!うひゃー、最後まで私はおどけものだ……

先生まで 私ににこにこしながら卒業証書を渡した。

「あっと、えっと……」

母が私をキッ!と狙んだ。ひぇー、また叱られる……

「先生方、皆さん方、ありがとうございました。」

クラスの子達、笑ってる……

もうー、最後だ!何を言っても笑われるなら 何でも言っちゃえー!

「じゃーん!私、東京に行くんです!そう、夢はあるけど、就職も、大学も専門学校も行く予定はありません!でも、決してニートはしません!コンビニでバイトをして、お金を貯めながら、モ……モデルになりまーす!」

一瞬、ほんの一瞬 静まりかえった……そして、どっと笑いが…椅子から落ちて笑ってる子もいた。

( -。-) =3そうなんだよね、私がモデルなんてね…

「いいぞー、頑張れや!」

そう言って拍手してくれた人が……蓮斗!?

それに続いて 拍手喝采!

うそー、まあ、おちょくりだよね……


頭をぺこりと下げて 俯いたまま席に着いた。


それからは 恥ずかしさでぼーっとしていて、誰が何を話したのか覚えていなかった。


泣く処か笑いをとるなんて、わたし、お笑い芸人の方がいいのかなぁ?とほほ…

母の顔は怖くて見ないようにした。


それからもまだまだお別れの挨拶は続いた…


こと美は 取り合えず地元に残って 小物店で勤める事になっていた。でも、夢はお金を貯めて東京へでて、小物デザイナーになりたいそうだ。

私なんかと比べたら……あんなに美しいのに……


とうとう最後だ、先生の挨拶が始まった。


「御父兄の皆様、今日はおめでとうございます。この 子供達の為の最後のホームルームにも出席して頂き、誠にありがとうございます。みんなの行く道には厳しい道もあると思うが、どうか、何事も諦めずに頑張って下さいーーー……それでは最後の言葉になりますが、皆様の幸せをお祈りします。元気でな!頑張れよ!」


ぐしゃが泣いていた。゜(゜´Д`゜)゜。


はぁー、これで本当に高校生活とさよならだね……

ホームルームも終わり、解散した。


私とこと美は 庭に出て 写真を撮ることにした。


こと美や、先生や、クラスの子達と写真を撮っていたら、蓮斗が近ずいてきた……

「よう、写真とろや」

「えっ!ええよ」

はい、勿論!私一人ではありませんでしたぁ( ̄▽ ̄;)

「はよ、はよこっちよ」

「先生もきてやー」

「はいはい」

「おまえもこいや!」

「きゃー」

どてっ!わたしはこけた、その瞬間 カメラがパチリ!

はい、また笑いを取ってしまった……


少しずつ帰り始めた。

「瑠菜、そろそろ帰ろか?寂しいんやけどね」


こと美と私は門を出た。さよなら、城光高校!

「そうそう、今夜のクラスの打ち上げ 行くん?」

「勿論、いくよ、瑠菜は行くん?」

「どうしよっか、きっと帰ったら母さんが激怒してそうで、だしてくれんかもしれんわ」

「ほんなら、帰ったら連絡してや、瑠菜が行かんかったら私も止めるわ」

「えー、わかった、母さんを説得してみるわ」


「ふぅー、ただいまー」

あれ?誰もいない、娘が卒業して帰ったと言うのに……


「母さんー、いないよ?」

まあ、いいっか!

テーブルの上にケーキが置いてあった。

「これはもしかして私の?かな?」

食べようとすると、襖が開いて……

「じやーん!おめでとう」

クラッカーが連続で鳴り響いた。

「えー、何?」

家族、全員集合!お爺ちゃんとお婆ちゃんまで……

おばあちゃんが……

「瑠菜、おめでとう」

上の兄が……

「瑠菜!3年間、おめでとうさん、そして卒業出来てほんまよかったわ」

母が……

「瑠菜、一応、おめでとうね、でーも!東京行きは話し合いするけんね」

「えー、なんで、決めたのに」

父が……

「まあまあ、今日はお祝いやから、明日の話や」

……………

家族が祝ってくれた事はとても嬉しかった。

何だか急に寂しくなり 今夜は家族と居たかった。

打ち上げは こと美に電話して 行けないと伝えた。

こと美は 私が行かなければ止めると言っていたが……きっと言っているはずだった。そう、そんな感じの子だったからだ。


私は後一週間後の飛行機のチケットの予約を 既に取っていた。

住む場所は、反対する親の監視があり、東京まで探しに行くことなんか出来なかった。

それで、同級生の由井の所に少しの間、お世話になる事にしていた。

父と母の反対を押しきる勇気なんてなかったけど、私の夢をどうしても叶えたかった。





















読んで頂いた事、とても嬉しく思います。

ありがとうございます。

春の陽気に 私も乗って ふかふか浮いてみたい気持ちになります。

目を閉じて 春の空気を 吸い込んでみますね。

でも、花粉症の人は この季節は気を付けて下さいね。


旅立つ人の幸せをお祈りします。

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