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第八話「苦しむ覚悟」
今宵はあの苦しい悪夢を見ずに済んだ。
力を使わなかったからだろう。
この力を使うとき、僕は苦しみを覚悟しなければならない。
とりあえず、今後どうするべきか考えよう。
「申し訳ありません。父上」
「たかが小国ミリアに何を手こずっておる」
「予想以上でした」
「父上!」
兄のカールスが言葉を発した。
「どうしたカールス」
「私めが妹の尻拭いをいたしましょう」
「ほう。カールス。お前がやってくれるか」
「ハッ! お任せを」
カールスはそう言うと私を見下す目で見つめてきた。
恥辱。
しかし、仕方あるまい。
まんまとやられて今は戦力に乏しい。
カールスに甘えるとするか