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第二十五話「力を使え」

「力を使え」


 声がする。


「力を使え」


 何だ?


「力を使え!!」

「はっ!」


 目を覚ました。


「おはようライア」

「おはよう」

「どうした? 顔色が悪いな」

「それ昨日も聞いたぞ」

「別に同じことを喋ろうが私の勝手だろう」

「まあいいが」


 さて、戦闘訓練戦闘訓練っと


「なあライア」

「どうした?」

「ちょっと付き合え」

「何に?」

「買い物だ」

「はあ!?」


 おいおいおい。

 未知の生物がショッピングか。

 服とか買うのか? 見えないのに?

 化粧とかするのか? 見えないのに?

 香水でもかけるのか? 感じないのに?


 そんなことを思いつつも付き合わされることになった。


 とりあえず街の住人に僕の姿がバレないように変装しておく。


 僕は一応ミリア国の王にはなったが、表だっての活動はせず、代理を使っている。

 そもそも僕は王に向かない。 

 頭が良くないからな。


 さて、今、商店街をうろついているわけだが。

 レイアは特にどこかに立ち寄ることもなく。普通に歩いていた。

 ショッピングに行きたいというわりにはそれらしい行動がない。


「この中に入るぞ」

「はあ!?」


 レイアが指さしたところは路地裏だった。


「どういうことだ? お前は買い物をしに「いいから」


 何が目的だ?

 一応促されたもんだから入ることにした。


 路地裏をずっとまっすぐ歩く。


「オラオラ! 金はどうした金は!!」

「ごめんなさい。ごめんなさい」


 一人の男性が複数の輩に蹴られたり殴られたりしている光景を目の前にした。


「力を使え」

「な!?」


 夢の中と同じ言葉。


「どういうつもりだレイア」

「力を使えと言ってるんだ」

「お前! 最初からこれが目的で」

「どの道幸福な世界を望むお前には何とかしたい光景だろう。違うか?」


 クソッ!

 力を使わずともこんなやつら!


「おい! お前ら」

「はあん。誰だてめえ!?」


 僕は素顔を見せた。


「私が誰だか分かるよな」

「ラ、ライア様」

「悪行は感心しないな」

「す、すいませんでした」


 輩共は次々と頭を下げる。


「大丈夫かい。君」

「あ、ありがとうございました」


 こうして事は片付いた。


「チッ」


 レイアが舌打ちをした。


「不服そうだな」

「力を使えばいいものを」

「力を使わずに済むならそのほうがいい」

「あの方は力を使うことをお望みだ」


 あの方?

 もしかしてそいつは僕が契約した時に聞こえた声の主のことだろうか?


 まあいい。

 とりあえずレイアを宥めるとするか。


「安心しろ。必要な時には必ず力を使う」

「私としてはすぐにでも力を使ってもらわないと困る」

「なぜだ? 事情でもあるのか」

「そ、それは……」

「話せないのか?」

「もういい!」


 そう言ったレイアの表情はなぜか悲しそうだった。

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