第二十一話「カールス、死す」
「他愛もない。少しは守りを固めているようだが」
兵士たちから超能力者が現れたとの報告もない。
やはり何かしらのデマではないのか?
事実は小説より奇なり。
偶然奇跡が起こって反乱軍が巻き返してきたのだろう。
やはり超能力は嘘のようだ。
「カールス様。大変です」
「どうした」
「見覚えのない兵器が現れたとのこと」
見覚えのない兵器?
何だ?
ミリア国は新型の開発でもしていたのか?
「カールス様、敵の動きがぐわあああああああ!」
「どうした!?」
何が起こっている。
「ん? 何だ」
強烈な爆発音目の前に煙が見える。
「おい、何が起こっている状況を説明しろ」
「それが、こちらの戦力が大幅に削られてしまい」
「削られた? どういうことだ?」
「分かりません。敵は恐ろしい破壊武器を装備してると思われます」
いつの間に……。
敵に余裕を与えてしまったということか。
我ながら不覚。
「敵の猛攻。抑えきれません。ぐわああああああ」
「チッ、応答しろ。他に残っているものは! ん?」
目の前に見覚えのない機体が現れた。
こいつか! 私の邪魔をしたものは!!
「とうとう見つけた」
敵は強力なレーザー砲を使ってくる。
だが敢えて接近戦に持ち込む。
予想通りだ。
僕の機体はこのために対策を練っていると言っても過言ではない。
機体の装甲もレーザー砲に耐性があるし、所持しているサーベルはレーザを弾き飛ばすことが可能。
後は僕の操縦技術がものいう。
近距離まで近づいた。
どうやらその機体。レーザー砲以外に攻略する必要がある部分はないようだな。
あっという間だった。
やつのレーザー砲を破壊した。抵抗しているのかもう片方の武器で撃ってこようとしたからその武器もサーベルで弾き飛ばしてやった。
逃げさせないように足も切断。
機体も動けなくしてやった。
さて、この機体。是非とも我が戦力に加えたいところ。
中身のパイロットはどうするか?
一応説得してみるか。
僕は機体のコックピットをこじ開けた。
中には茶髪の若干老けてる男性がいた。
衣装は貴族を思わせるようなものだった。
「畜生!」
この機体のパイロットからは悔しさが滲み出ている。
「こんにちは」
「何がこんにちはだ。この化物め」
そういうと男性は銃をこめかみに当てこう言い放った。
「下民共に服従するぐらいなら死んだほうがマシだ!」
男性は頭を銃で撃ち、血を流して倒れた。
彼のプライドがそうさせたのだろう。
愚かなことだ。
まあいい。
機体だけでも回収出来れば充分な成果だ。
こうして僕はミリア国を守り抜いた。




