第一話「誕生」
「オラッ! もっと働け!!」
僕の名前はライア。15歳。
今奴隷として働かされている。
元々僕の生まれは裕福だった。
幸せな家庭だった。
しかし、戦争に負けた僕の国の国民達は皆奴隷として働かされるようになった。
僕は戦争で家族を失い、悲しみと憎しみにくれながら奴隷生活を強いられるようになった。
なぜ、僕がこんな目に合わなければならないのだろう?
僕が何をした?
そんなことを考える間も無く働かされる。そんな毎日だった。
いつか復讐してやる。
そう思うことばかりだった。
そんなある日。僕はこの奴隷施設から逃げる計画を立てた。
計画と言っても単純だった。
僕は逃げることに執着し続けた。
どれだけ走ったか分からない。
しかし、僕の計画が浅はかだったのだろう。
すぐに捕まり拷問を受けることになった。
その拷問に耐え切れず僕はついに意識を失った。
アハハ、哀れな人生だ。
もし、僕に力があればこんな奴隷施設すぐに抜け出せるだろう。
そして僕の目標も果たすことが出来ただろう。
だがもういい。
こんな世界とはおさらばだ。
「ん? ここは……?」
気が付くと白い空間が眼前に広がっていた。
僕は死んだのか?
「力が欲しいか?」
声がする。
「力が欲しいか?」
ああ、あるなら欲しいとも。
「ならば汝に力を授けよう」
お前は誰だ?
「そんなことはどうでもよい。力が欲しいのだな」
それは……そうだが。
「我と契約すれば力を授ける」
契約?
「ああ、我の苦しみを受ける代わりに。汝はとてつもない力を使うことが可能になる」
苦しみ……。
「どうした? 要らないのか?」
いや、分かった。引き受けよう。その契約を。
「話が早くて助かる。では我はこれにて失礼する」
おいちょっと待て! 力とは!?
「ん……?」
目が覚めた。
今のは夢だったのか?
「やっとお目覚めか?」
目の前には僕の目覚めをにやにやと待っている拷問野郎どもがいた。
「さて、続きをするか。何で逃げたんだ!!」
僕はムチで体を叩かれる。
痛い!!
そう思った。
あれ?
確かにムチで叩かれた。しかし、痛くない。
もしかして。
僕は思い立ち、鎖で縛られてる体を思いっきり動かした。
「何やってんだ。無意味だってのによお」
鎖があっさりと解けた。
「な!?」
そうか。あれは夢じゃないのか。本当に僕は力を手に入れたみたいだ。
僕は拷問野郎どもの面を思い切りぶん殴ってやりたい気持ちになった。
しかし、それだと僕の目標に反する。
なのでそれは諦めた。
拷問野郎どもは僕に恐れおののき逃げ去っていった。
僕は生まれたんだ。
勇者として、クククククク。