第六話 サイボーグ
太陽はビル群に飲み込まれ、秋空にたなびく雲は茜色から群青色へと染まってしまっていた。
「夕焼け小焼けが鳴り響きだした街、子供達は手を繋いで帰っていった公園で、金属が擦れ合う不協和音を鳴らしながら男子中学生が二人。錆びたブランコに乗りながら他愛もない会話に興じようとしていた」
『おい、俺の役割であるナレーションを取るな霧島』
「うるせえ。たまには俺も脳内モノローグやりてえんだよッ!!」
『な、何だか今日は異様にテンション高いな……あ、そうだ貸していたヘッドフォンさっさと返せ』
「え? 俺そんなん借りてたっけ……」
『鞄を見ろ馬鹿め』
「お前に馬鹿と言われたくねえな……あ、もしかしてこれ?」
『見れば分かるだろう。俺が普段肌身離さず着けているのだからな』
「そんな設定があったのか……」
『そんな設定があったのだよ……』
「……あ、設定で思い出したんだけどグレンってサイボーグなんだよな?」
『如何にも』
「サイボーグってアンドロイドと何が違うんだ?」
『ほう、良い質問だな』
「良い質問だったんかこれ」
『簡単に説明するとサイボーグは機械化された人間で、アンドロイドは人型のロボットだ』
「へえー……ん? お前って元人間なの?」
『肯定だ。人間だった時の記憶は朧げだが』
「へぇ……成る程、よく分かったよ。身体は変わろうとも頭の中身はアホな人間のままだからお前はハイスペックサイボーグになっても馬鹿なんだな」
『やはり貴様は一度消しておくべきだったようだな……』
「は? 何キレとるん。事実だろ?」
『死ね死ね死ね死ねシネシネシネシネ……』
「だっから公園で刃渡り15cmのコンバットナイフを振り回すんじゃないっ! 危ないだろが!」