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第四話 試験

 太陽はビル群に飲み込まれ、秋空にたなびく雲は茜色から群青色へと染まってしまっていた。


 夕焼け小焼けが鳴り響きだした街、子供達は手を繋いで帰っていった公園で、金属が擦れ合う不協和音を鳴らしながら男子中学生が二人。錆びたブランコに乗りながら他愛もない会話に興じようとしていた。



「今日試験の結果貼り出されてたよな」


『ああ、皆自分の順位を見て一喜一憂していたな。霧島はどうだったんだ?』


「……実は少し下がったんだよな」


『おっ? 成績しか取り柄のないお前がか?』


「喧しいわ! 嬉しそうにニヤニヤすんな!」


『他人の不幸は蜜の味というであろう?』


「最低だな!」


『で? 何位だったのだ?』


「うぅ……お前という奴は……! 245人中の14位だよ! 笑いたきゃ笑え!」


『……は?』


「塾サボったからかな……いつも学年10位内には入ってるんだけどなぁ……」


『うむ分かった、捻じり殺されたいのだな』


「なんで!? てか待てグレン、お前なぜにコンバットナイフ持ち歩いてるん!?」


『ふふふ、貴様だけは永遠の敵だ。死ぬが良い童貞……』


「中学生で童貞じゃない奴の方がおかしいかんな! ってかなぜか怒ってるけどそう言うお前はテストどうだったん!?」


『ふっ、聞いて驚くなよ霧島よ。全教科赤点回避したぞ』


「うぉっ!? やったじゃんおめでとさん!! 脱0点マン!」


『素直に祝われると先程の自分が恥ずかしくなるからやめろ』


「でもお前、いつも全部の解答欄埋めてるのに0点というミラクルを起こしてるじゃん」


『煩い。分からない所にはとりあえずデオキシリボ核酸と書いておけば良いのだ』


「去年も数学の解答用紙にびっしりデオキシリボ核酸って書いてたよな。あれ何の呪いかと思ったわ」


『そういえば歴史で「1853年に来航したのは誰でしょうか」的な問題があったよな』


「せやね」


『あれはマシュマロ・ペリーとマカロン・ペリーで迷っている内に時間ギリギリになったからとりあえず二つとも書いておいた』


「マシュー・ペリーだよ! お前が珍しくマカロン連呼してないと思えばここで出しやがった!」


『軍艦巻きでマカロン開国♪』


「何だその歌。気持ち悪い」


『今作った。よし二人共無事に試験を終えたことだし、スイパラに行こうではないか!』


「グレンのその無駄な女子力は何なん!?」

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