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男子中学生の日常会話物語  作者: 天槻悠奈
緋咲奇譚編
37/50

第三十七話 イヴが本番みたいな認識あるよね。


 どこの町にもありそうな、特筆するような特徴もない平凡な住宅街で輝いているのは電飾で装飾されたカラフルな一軒家。

 親は仕事で家を空けているので、残された子供達はテレビから流れるクリスマス特集を何となしに眺めながらこたつで丸まっていた。



「……毎年この時期になると思うんだよ」


『?』


「クリスマスってさ……25日より24日のイヴの方が本番的な認識あるよな」


「という訳で始まりましたクリスマス五話連続更新企画! 何と霧島家のリビングからお送りしています!」


「姉ちゃん早い! 俺まだ話して……って何て格好してんだお前ェェエエエッ!?」


「はいどーもどーも、セクシーブラックサンタコスの美少女JK由梨愛ちゃんですっ☆」


「ミニスカ超寒そう!」


『真冬にノースリーブとか勇者か……女子は大変なのだな』


「そうです! 女子は大変なのです! 真冬でもお洒落の為にミニスカ履かなきゃいけないし、体型の維持の為に食事制限したり、髪型や服装だけでも超迷うし、お肌や髪のお手入れは面倒だけど欠かせないし、流行りのファッションやメイクの勉強に、学校で友達と話を合わせる為に興味もないバンドの曲聴いたり、それから生理や出産――」


「女子が自分から生理とか言うんじゃありません! 外側だけでもうら若き乙女なんだから少しは恥じらいを持て!」


「外側だけってどういう意味!?」


「文字通りの意味だよ! そして見るからにクソ寒そうだからさっさとこたつ入れ!」


「腐女子で悪かったね! 手袋もマフラーもブーツも装備してるから大丈夫だよ?」


「そりゃ暖房の効いた室内では大丈夫だろうよ! 良いからこたつ入れよ!」



 ――しかし栗色の髪を緩く波打たせ、大胆な衣装に身を包んだ姉に弟がいつもと違う感情を抱いてしまうのもまた事実で――



「グレンてめぇぇええ! それっぽいモノローグ演出してんじゃねえ!」


『我の仕業だと気づくとは貴様、なかなかにやりおるな……』


「置いてけぼりにしたからってこんなせこい真似するなんて! そんな子に育てた覚えはないぞ!」


「オカンか」


『貴様に育てられた覚えもないのだが』


「んだとぉ!? 中学入ってからずっと絶望的方向音痴のお前が道に迷わないように一緒に行動してやったり、お菓子や弁当作ってやったり、着替えや片付けもしてやった恩を忘れたのか!?」


「最早兄弟!」


『ぬぅ……俺は別に迷子になんて』


「なるよな? 二人で遊びに行っても一瞬目離した隙に忽然と消えてるもんな?」


『あれはデスティニーという名の気の波動に惹かれたからだ!』


「おい誰か某帝国の皇后呼んでこい」


「二人の掛け合いに段々と萌えを見出せてきた……」


「あっ何か姉ちゃんが覚醒し始めた」


『彼女は元より腐属性に覚醒している腐女だろう?』


「異世界魔法あるあるな光属性の巫女的なノリで腐女子を脚色するな!」


「及第点にはまだまだ届かないけど、時間も時間だしお昼にしよ?」


「あ、そっかもう十二時だもんな」


『飯……!』


「はいはい、シチュー作ってあるから。持ってくるから待ってろよ」


「さっきから思ってたけどあんた女子力高すぎ! 私にもその女子力分けなさいよ!」


「男子力と呼べ」

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