第二十三話 過労死
陽が半分その顔を沈めた、町の喧騒の中で一際目を引く華美な造りの高層マンション。その一室で二人の少年が集まろうとしていた。
――まだ文化祭が始まってもいないのに、霧島霧之助の疲労はピークに達していた。
「……」
『…………』
「…………づがれ"……だ……」
『死相が現れている……』
「まじ何なん……何で俺が文化祭準備の総司令塔やんなきゃなんないん……」
『目の下の隈が酷いな。隈を取るには冷たいタオルと温かいタオルを五秒おきに交互に当てると良いらしいぞ』
「それでなくともレポートの最終締め切りも近いし時間足りん……数学と英語死ね……」
『いつになく台詞の歯切れが悪いな……ほら、ゆっくりとこたつで休むが良い。地味に久しぶりの集まりなのだから』
「先輩達仕事全部俺に押し付けてサボりやがって……俺の作業量だけ多過ぎるよ……ブラック企業にでも捕まった気分だよもう」
『何と申せば良いのか……上が駄目だと下がしっかりしなければならないとは正しくこういう事を指すのだな』
「まじ病み……c◯mic◯見よ……」
『伏字の意味が皆無』
「土曜連載の魔界男子組に癒されなきゃ本番まで持たねえ……我らが最強幹部が魔法使ってたシーンでも見返そ……」
『あ、魔界男子で思い出したのだが』
「疲れた眠い寝る」
『待て待て待て。こたつで寝るな、風邪を引いても知らんぞ』
「あれ、川の向こうに三年前に死んだ爺ちゃんが……」
『霧島ァッ! 還ってこおぉぉぉい!』