第十四話 ポッキーの日
本日二話目。
陽が半分その顔を沈めた、町の喧騒の中で一際目を引く華美な造りの高層マンション。その一室で二人の少年が集まろうとしていた。
『デュフ、デュフフフ……』
『ただいっ……!? な、何だ!?』
『あ、グレン兄おかー』
『ルリト……答えろ。何故貴様は俺の部屋で俺のパソコンを勝手に開いてニヤついているのだ?』
『いやぁ、今日11月11日でしょ?』
『そうだが……それが何だと申すか?』
『まぁまぁ、何の日か当てて見てよ♪』
『む、今日は瑞分と平凡で当たり障りない平日であったが……?
文化の日は先週だし、休日にならない祝日で他に祝い事と言えば……』
『言えば?』
『分かったぞ、誕生日か!』
『いや誰の? 僕は8月31日だしグレン兄は12月17日だよね?』
『き、霧島か馬鹿シエル辺りの誕生日なのだろう……多分』
『霧兄は10月8日、シエル氏は8月15日だよ。ついでに霧兄のお姉さんは7月3日。夏生まれ多いね』
『待て、何故貴様がオールキャストの誕生日を知っているんだ』
『ふふ、僕の情報収集力を舐めてると痛い目に遭うよ?』
『恐ろしい奴だな……して答えは何ぞ?』
『ふっふっふ……11月11日はポッキーの日だよグレン兄!』
『ポッキーの日?』
『そう! それで今朝から色んな画像サイト漁ってたら案の定ポッキーゲームのイラストが大量だよ! ぐ腐腐腐腐……』
『……楽しそうで何よりだが、貴様学校はどうした?』
『仮病なう☆』
『貴様……それでよく俺に真面に授業受けろなどと宣われたな』
『BLには命懸けてるから』
『重いな』
『僕のBLへの愛は重いよ。毎日通学途中の電車で顔のニヤけを抑えるの大変なんだからね』
『一体何を考えているんだ』
『近親相姦とかショタ攻めとかヤンデレとか束縛とか拘束プレイとか【自主規制】とか【検問削除】とか……』
『な、何を言っているのか皆目分からん……霧島早く戻ってきてくれ……!』
『本当だよ! 霧兄が入院してさえいなければ二人にポッキーゲームやって貰う予定だったのに!』
『誰が男同士でやるものか。霧島の姉とシエルにやらせろ』
『その為にグレン兄の貯金使ってコンビニのポッキー買い占めたのに!』
『待て貴様今何と言った』