ふざけるな
十二月初の土曜日の事だった。
学校が休みの土日は、昼から晩まで二、三百円ちょっとで粘る迷惑な俺たちは、やっぱりその日もファーストフード店の一席を占拠していた。
まだまだ、太陽は白い光を照らしている。完全な陽の世界。十四時頃の事だ。
俺の携帯電話に、特別に設定している着信音、つまりはベートベンの運命が鳴る。藤間からだ。
「やぁ、ストカー集団のリーダー武田君」
藤間は先週の事を、相当根に持っているようだ。
そして、やっぱり全ての罪は俺が被る事になっているらしい。
「今日の十八時に会おうじゃないか。アフロディーテは絶対につれてきなよ。これは命令だ。言ってる意味はわかるよね? 無理やり事を起こすのは簡単なんだよ。でも、スマートに事を運びたいんだ」
「自分たちだけが、有利な立場にあると思わないでください。僕たちは、藤間さんの家を調べ上げたんですよ?」
「あぁ。それも承知さ。だから、譲歩条件もあるよ。僕らと君たちの戦い。それで手を打ってあげるよ。ハリネズミ君の友達と戦争はしない」
幸か不幸か。相当怒っている藤間だけど、家を知られると言う事実は堪えているみたいだ。
「わかりました」
それにしても、真田を渡せだと? ふざけるな!
電話の内容と、俺の決意を、二人に知らせる。
「藤間からの電話だった……。真田を連れて来いだってよ。真田、安心しろよ。絶対、あいつらの好きにはさせないからな!」
ハリネズミも俺と同じ気持ちでいてくれるみたいだ。
「泣き面を見るのはあいつらだけどな。あいつらじゃ、俺には勝てない」
ハリネズミはコーラーはいくら待っても復活しない事に気がつき、紙コップの蓋を取り氷を噛み砕きながら、自信満々に言った。
対して、真田と俺は意思の共有は出来てないみたいだった。チビチビ飲んでいるオレンジジュースは相当薄味になっているだろうに、そんなこと気にする事なく、顔面体温は四十℃の高熱だろうなと思わせるほどに、顔を赤くしながら。
「何で敬語で話すのよ! 救えない男ね! お願いだから、もっと男らしくしてよね!」
だと。
「いや、多分、藤間は上級生だろ?」
当たり前だけど、真田は怒っていた。
だけど、怒りの矛先は俺へ向けられたているようだった。
全ては、今日の夜だ。
真田を奪うつもりらしいが、逆にこちらが目に物を見せてやろうじゃないか。
俺たちが勝っても得る物が無い戦いなのだが、それでも闘志を燃やすには充分だった。
絶対に、真田は渡さない。




