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のけ者

 その夜。一度は諦めた先輩の考察を聞かせてもらえた。

 だけど、俺には意味がわからなかった。

 



 ----------

 

 先輩:

 彼女は、本当の自分を見てもらえない力を持っているんだ。これは、もう経験済みだよね。


 ハリネズミ:

 正確に言えば、都合よく全ての人類に愛される力ですね。


 sloth:

 なんで、そんな事がわかるの?


 先輩:

 ゴメンよ。そこは秘密さね。

 これには、理由は無いんだ。私が知られたくないだけさね。


 ハリネズミ:

 僕は理由があるよ。

 それは、先輩もわかると思う。

 とにかく、人に言いたくないんだ。


 sloth:

 そうかいそうかい。

 どうせ、俺はのけ者ですよ


 ハリネズミ:

 勝手にいじけていたまえ。

 それより、話を進めるよ。

 いいかい?

 問題は、なぜ君が彼女の力を受けつかないかだ。


 先輩:

 うん。私はね。

 こう推測したのさ。

 武田君は『力』を受け付けない体質だと思っていたんだ。


 sloth:

 え? 

 どういうこと?


 ハリネズミ:

 なるほど。

 そういう事だったんですね。

 だからこそ、僕にも武田が『力』を持っているとわからなかった。


 先輩:

 出来るだけ巻き込みたくなかったのさ。

 だから、薫ちゃんと武田君が会うように仕向ける所で終わるつもりだったのさね。

 彼女を救えるのは、武田君だけだと思っていたからね。

 でも、私は大きな勘違いをしていたのかもしれない。


 ハリネズミ:

 武田の『力』は自分自身限定じゃないと言う事ですね。


 先輩:

 そうだね。少なくとも、あちら側の人間はそう認識しているみたいだよ。

 だから、急に手を引いたんだ。

 十二月までと言う限定条件付きでね。

 本当に私が浅はかだったよ。


 ハリネズミ:

 そして、武田がそういう『力』を持っていると仮定すると、先輩も『僕たちを巻き込まない』、とは言えない事態になってしまった訳ですか? 

 気にしないで下さい。僕は今年の夏に『力』を手に入れた時から当事者のつもりです。

 それに、先輩の勘違いも仕方ありませんよ。

 僕だって、武田が『力』を持っている事実さえ気づかなかったんです。

 距離が近いからこそ、見えないこともあるのかもしれませんね。

 例えば……。

 以下略! 


 sloth:

 だから、どういうことなの? 


 先輩:

 そして、薫ちゃんからの情報だと、彼らの中には確かに『人類を滅ぼす力』を持っている人物がいるみたいなのさ。

 そこで、その人間を探しているんだけどね。

 どうも、私の存在に気づいている節もある。

 彼らの中でも、事実を知らされている人間は少ないんだよ。


 ハリネズミ:

 敵にも先輩のような『力』の持ち主がいるのかもしれませんね。

 だからこそ、情報管理が行われていると予測できます。


 sloth:

 だから、意味わからないんだよ~。

 つまり、どういうこと?

 

 ハリネズミ:

 わからないなら、黙っててくれないか。

 大事な話をしてるんだ。


 sloth:

 お、おぅ……。


 先輩:

 私は、引き続き『人類を滅ぼす力』の持ち主を探す事にするよ。

 ハリちゃんは、武田君の力について調べてもらえるかい?


 ハリネズミ:

 そうですね


 ----------





 とりあえずわかったのは、この二人はそれぞれに事情を理解していて、『力』も持っているらしい。

 それ以上のことは、俺には理解できなかった。

 それにしても、俺に説明してくれるためのチャット会議だと思っていた。

 だけど、俺は無視されてばっかだ。

 ちょっと、いじけそうです。くじけそうです。

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