僕だけが知らない不思議な事実
ハリネズミ:
やぁ、おかえり。早速だけど、気になることがいくつもあるんだ。
そうだね。
まずは何故あんなにも喜んで感謝の言葉を述べている彼女に、余計な説明をしたのか聞かせてくれはしないだろうか?
sloth:
いや、彼女は怯えてたんだよ。
お前を見れば、そうなる事ぐらいわかるだろう?
ハリネズミ:
君の価値観は普通と大分違うね。
怯えてた?
それは、絶対にありえない。
僕がその場で見た限り、あれは本当に喜んでいたよ。
いや、価値観の問題ではないのかもしれない。
辞書ぐらい君も持っているんだろう?
さぁ、待っててあげるから調べておいで。怯えると言う単語の意味をね。
sloth:
だから、前にも言っただろ?
彼女の本当の言葉が、俺にだけはわかるんだ。
ハリネズミ:
それはおかしい。
確かに、彼女は『力』持っていた。
だけど、それと君の言う事には軽い矛盾が生じている。
sloth:
どこにだよ?
ハリネズミ:
詳しくは言えない。
だけどね、君だけが本当の彼女を知っていると言うのは変なんだ。
先輩:
変じゃないよ。
武田君はそういう子さね。
sloth:
先輩。いたの?
先輩:
今、帰ってきのさ。こんばんは!
ハリネズミ:
前から思っていたんだ。
今回の事について、先輩はいくらか事情を知っていますよね?
先輩:
う~ん。私も、詳しくは言えないさね。
出来れば、二人を巻き込みたくないんだ。
sloth:
なんか、わからないけど。先輩がそう言うなら、詳しくは聞かないよ。
ただ、ハリネズミよ。一つだけ良いか? ずっと気になってたんだ。真田は、どのぐらい美人に見えているんだ?
ハリネズミ:
そうだね。
それは難しい質問だ。例えるなら、先輩レベルかな。
いや、それ以上と言っても良い。
先輩:
私以上かい?
それは、相当だねぇ。
でも、おおむね同意さね。
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先輩は冗談に聞こえないから、自分の美貌を語るのは嫌味すぎるから止めた方が良いよ。
とタイピングするか迷ったが、この人はそれをわかってて冗談にする女だ。無駄な労力は費やさない事にした。
結局、その場は収まった。
二人とも秘密を持っているらしく、言えない事情もある。俺にわかるのはそれだけだった。
その後、俺とハリネズミとの共通点と相違点についてから始まる、「友情の定義」講座が始まってしまった。
似ているからこそ友情を感じるし、似ていないからこそ友情を感じる。
とか訳のわからないものだった。
矛盾してるじゃね~か。
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ハリネズミ:
だからね。共通の意識を感じる事により仲間と認識する。
それを人は友情と呼ぶのだと思うね。
でも、自分に持ってないものを相手に感じた時も、友情は発生すると思うんだ。
相手の相違点に対し、憧れや尊敬の念を抱いた時なんかだね。
いや、好意的な感情を抱けるならば、尊敬することが出来なくても良いのかもしれない。
具体例を出そうかい?
そうだな、例えば……。
以下略!
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よくわからないけど、わかった事にしておいた。深夜一時を過ぎても、終わりそうになかったからだ。




