Dr. みそじ 第7章
大学院生活が有意義なものになるか否か。これは、最初の一歩で決まります。
根気強く、そして粘り強く着実に推進していく。これが研究だとおっしゃる方もいます。
しかし一方で、大学院という短い間で結果を残していくためには、一年目の3ヶ月目までで結果を出す必要があります。
結果というのは、研究の種を見つけるということです。
その後は、論文投稿に必要な細かなデータを取って行く。つまり種に水をかけて芽を出させます。
論文を投稿するまでの間、自分のデータを持って学会発表に走ります。この過程で、様々な分野の研究者達と自分の研究を議論できます。
そして最後にようやく議論が煮詰まった所で、論文投稿という形になります。
一度論文を投稿しても、その論文が受け入れるかどうかはReviewerと呼ばれる人たちの審査次第です。
この辺りの感覚は、漫画や小説を出版社に持ち込んで編集者が面白いと思えば採用され、そうでなければ追い返されるのと全く同じです。
厳しい審査に通った論文だけが、一流ジャーナル (Nature, Scienceなど)に載ることができます。
多くの研究者たちがこうしたプロセスを経て、自身の研究の花を咲かせているわけです。
私の場合、このサイクルに最初からつまづきました。
一年目が終わる頃にはテーマがあれこれ変わり、そうこうしてる間に東日本大震災を受けて、そして2年目が終わる頃にもテーマ変更を余儀なくされました。
当然、結果が出ない→研究室にいる時間が長くなる→ストレスがたまるという、負のスパイラルに陥ります。
また、結果が出てないわけですから、学会発表や論文投稿もままならず、また研究スキルも伸びていきません。
よほど強い意志の持ち主でなければ、自分の時間を確保して自分の勉強をしながら、研究を進めていくということはできないのです。