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始まりのフロンティア3

 どうやら俺はとんでもない夢を見ているようだ。アイリさんの話を聞いてそれを再確認した。


この名もなき世界は今や群雄割拠の時代らしい、いくつもの国が乱立し、世界規模で戦争が起こっているのだ。そしてその中でも強い国が六つある。俺たちの目的地英雄国家、ヒロノキア。超大国、アストガルド。中立国、ハルモニア。軍事国家、ガイロン。古大国、ヒノモト。聖王国、アーカディア。これら六つは六大国と呼ばれ今この世界を統一する可能性が最も高い国々だ。


 そして俺たちが向かっているヒロノキアには七人の英雄が居るらしい。《剣聖》《鉄壁》《閃光》《大力》《英知》《暗闇》《狂歌》の七人だ。どれもこれもが一騎当千で、七人がそろえば世界の統一も夢ではないらしい。しかし今ヒロノキアに居るのは《剣聖》と《鉄壁》の二人だけだそうだ。というかアイリさんとシロナちゃんって七英雄だったのかよ。


そしてなぜかは知らないが俺はこのヒロノキアで王になる予定らしい。ナンデ? ナンデオレガオウサマナノ? 夢でここまで来るともう厨二病を越えてきているような気がするな。俺は常日頃から王様にでもなりたかったのだろうか? いやそれだけはないな。


「どうしたんですかマスター? 何か深刻そうな顔をして」


「いや、とくには。あとそのマスターってやめない? なんか歯がゆいんだけど……」


 どうも呼ばれなれていない呼び方で呼ばれると落ち着かなくなってしまう。いやまぁだれでもマスターなんて呼ばれたら落ち着かないか。


「ダメです! 我が主であるリュウマ様をマスター以外で呼ぶなんて考えられません!」


「意外に頑固だよねアイリさんって……で、そのヒロノキア? って場所にはあとどれくらいで着くの?」


 さっきから俺たちが居た小屋から出てもう二時間以上は経っている。その間何も変わらない森の風景がずっと続いている。


「せっかち?」


 せっかちで悪かったな、でもさすがにこの木だらけの風景は飽きてきたぞ。


「もうすぐです。あと少しでこの森をぬけます。ぬけたらすぐにヒロノキアですよ」


 どうやらもうすぐそこまで来ていたようだ。でも二人はすごいよな、あんな鎧を着て二時間以上も歩いても汗一つかいていない。やはり鍛え方からして違うということか。そんなことを考えていると唐突に森が終わった。そして森が終わった場所に現れたのは俺の身長の何倍もある大きな石壁だった。


「これはすげーな」


 マジで終わりが見えねーぞ、こんなもんどうやって作ったんだ?


「この城壁は千年以上も前に作られたらしいですよ、本当に当時の人たちはすごいですよね」


 千年か、途方もない時間だな。千年以上もこの街を守った壁となると感慨深いものがあるな。本当にこのヒロノキアっていう街が楽しみになってきたぞ。


「このヒロノキアってのはどういう街なの?」


「そうですね、正確には周辺国十四と、この王都を総称してヒロノキアと言うのですが、ヒロノキアというとこの王都だけを指す場合が多いですね。そして街にについてですが実際見てもらった方が早いと思います。きっとマスターも気に入ると思いますよ」


 ついてからのお楽しみってか、まぁ口で説明しにくいってのもあるんだろうけど。


「そっか、じゃあ楽しみにしてるよ。で、やっぱり俺は王様をやらなくちゃダメなの?」


 俺個人としては本当にやりたくないんだが、俺には王様というより一兵士の方が向いている。


「私としてはマスターに王になって欲しいんです。だからなってもらいます」


 さっきから譲る気はないようだ。何度言ってもやはりこの答えが返ってきてしまう。


「はぁまぁそのことはおいておこう。ってなんか門が見えてきたな、あそこから入るの?」


 壁に沿って歩いているとこれまた大きな門が現れる。そこには衛兵なども立っており、なにかものものしい雰囲気が漂っている。


「すいません入れてもらえますか?」


「ただいま」


 と思ったら二人の反応を見る限りそうでもないようだ。衛兵の顔をもそこまで怖くはないみたいだし。


「ああ、お二人ともお帰りなさい……ってそこの不審者止まれ!」


 俺だけ不審者ですか、まぁ二人は曲がりなりにもヒロノキアの英雄であり、俺とはどうしようもない差があるってことね。


「大丈夫ですよ、この人は私たちの知り合いです。私《剣聖》の名のもとにこの人の身分は保証いたします」


「私も保証する」


「はぁ、お二人が言うのであれば」


 すげーな、訳分からん人間でも二人が居れば入れるのか、なんか本当英雄って優遇されるのな。


「では行きましょうマスター、我らの故郷ヒロノキアにようこそ」


 俺は大きな門を通り街へと入る。そこにはとても活気に満ちた人々の姿があった。


「どうだい今日は言った魚は、あっちの店より安いよ!」


「あんな店よりこっちで買いな、こっちの方が全然うまいよ!」


「武器はいかがかな? どれもこれも一級品だよ!」


 すごいな、大通りには所狭しと屋台が並んでいる。店もすごい、何より人の多さがすごい。東京ともなんら遜色ないぐらいの人がいる。


「これはなんというか圧巻だな」


 正直いろいろなめていた。こんな世界だどれもこれもしょぼい感じだと思っていたがこれほどまでとは、認識を改めないといけないな。


「あれ? 《剣聖》様と《鉄壁》ちゃんじゃないか? お帰り!」


 さっき魚を売っていたおばちゃんが二人の存在に気づく、それと同時辺りはちょっとした騒ぎになってしまう。


「いつ帰ったんだい?」


「どこに行ってたの?」


「お帰りなさい!」


 誰もがみんな二人を敬愛しているのが分かる。やはりこの国において英雄というのは大きな存在なんだろう。その分一緒に居る俺への視線は鋭いものがあるが。


「みなさんただ今戻りました。今回は訳があって内容は言えないんですが、無事帰ってくることができました」


 アイリさんがみんなに深々と頭を下げる。どうやら権力を振りかざすタイプの人間ではないようだ。


「みんなただ今帰った」


 シロナちゃんは相変わらずぶっきらぼうだけど少し表情が柔らかくなった。ホント故郷っていいよな。


「すいません先に用事を済ませてしまいたいので、これで失礼します。お話はまたあとで」


「みんなバイバイ」


 俺たちはそういってそそくさとその場を後にする。ちょうどよかった俺もみんなのあの視線には耐えられなくなってきてたから。


 俺たちは裏通りへ裏通りへと入っていく。俺は真っ先に街の中央にそびえ立っているお城へと直行するもんだと思っていたが、どうやら何か城にはいけない事情があるらしい。


「こちらへ」


 俺たちは裏通りのある一軒家の中へと入っていく。大きな部屋が一つあるだけの家というより小屋と言った方が正しい場所だ。その部屋の中央には丸い机が置いてありそのほかには何もない殺風景な風景だった。


「すいません本来ならこんな場所に主に居てもらうのは心苦しいのですが、状況が状況なので我慢してもらえると幸いです」


「別にいいけど、この街で何か起きているの? なにか深刻そうだけど」


 さっきまでの笑顔と打って変わって現在はとても深刻そうな顔をしている。


「はい、本題から入りますがこの国は現在乗っ取られています」

八月中は2~3日に一回で更新すると思います。

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