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始まりのフロンティア2

「まじでここはどこなんだ?」


 見れば分かると言われたが、俺にはどこだかわからない、というぐらいしかわからないぞ。


「本当に分からないのですか? 召喚される人はすべてを知って召喚されると伝承に合ったのですが」


「召喚失敗?」


 全然頭がついて行かない。どうしてこうなったのだ? 俺は昨日もいつも通りおなじみの毎日を過ごしていたというのに。なにか違うことがあるとすれば……あのメールか。


「ただの迷惑メールだと思っていたのに、まさかこんなことになるとは」


 俺は頭を抱え落胆する。


「めいわくめーるとはなんですか?」


「いや気にしないでくれ、こっちの話だ」


 本当に新しい世界に招待されるとは、確かに何やらいろいろと書いてあったな、全部読み飛ばしたが。


「とりあえず何もわからん、一から説明してくれると助かる」


 大雑把な性格が災いしたな、ゲームとかも取説を読まないで始めるタイプだし。とりあえず何もわからないという状況だけは避けたい、戦闘でも何もわからないというのは一番危険な状況だ。


「そうですか、ではまずは自己紹介からしましょう。私は《剣聖》アイリス・クロスフィールドです。アイリとお呼びください」


 まずは金髪碧眼、甲冑に身を包んだ女性がしゃべり始めた。どうやらこの娘はアイリというらしい、落ち着いてみるとかなりの美人だ。スタイルだって半端ないし、夕実が霞んで見えるな。


「私は《鉄壁》シロナ・ヴァンヘルツ……シロナ」


 次は銀髪の娘だ。さっきのアイリさんとは打って変わって少し幼い感じだ。身長も百五十あるかないかぐらいだろう、なんというか子供みたいだな。しかしその姿はまるで何かの要塞を思わせるほどの重装備だ。


「シロナって呼べばいいのか?」


「コクコク」


口で言うなよ。まぁいいや、とりあえず名前を聞いてここが日本だというわずかな希望も打ち砕かれたし、もう開き直るしかないよな。俺は細かいことを悩むのは苦手なタイプだし。


「俺も自己紹介しておこう、藤堂流馬だ。これからよろしくな」


「はい、よろしくお願いしますマスター」


「よろしく」


「まずはそうだな、《剣聖》や《鉄壁》ってなんだ?」


 わざわざ名前の前につけるってことは大事なものなんだろう、なんか名前の一部なのか? そしたらわざわざ主張するようなこともないだろうし。


「それは私たちの称号です。そうですね分かりやすく言えば職業みたいなものでしょうか、ある程度の人間になってくるとその人に噂や、逸話から名前が付けられます。そしてその称号の名声や噂が広がっていくと同時にその称号をもつ人間は強化されます」


 なんかいっきにゲームみたいになってきたな。例えば日本チャンピオンになったらその称号が自分をさらに強くしてくれるという事か?


「たとえば私の《剣聖》は特殊な称号なので、いくつかのスキルや能力向上も含まれます。そしてその称号が有名になればなるほどその内容は強化されていきます」


 ふーん、その存在が強ければ強いほど人々に語り継がれる。そして語り継がれることによってさらにその人はさらに強化される。なんか理不尽な世界だな。ん? ちょっと待てよ?


「スキルってなんだ?」


 聞き間違いでなければそう言ったはずだ。おかしいなここはちゃんと現実世界なんだよな?


「前途多難だね」


「こら失礼でしょ、そうですねスキルとは一種の特殊な攻撃のことです。例えば二回攻撃をする『ダブル』、基礎能力を向上させる『ドライブ』。とまぁいろいろあります」


 なんか本当にゲーム臭くなってきたな、でも俺が感じる風や日差し、草の匂いがここがゲームではないということを実感させる。


「そうですね、スキルに関しては実際にやってもらった方が早いかもしれないですね」


 そういってアイリさんは俺をそこらへんに生えている木の近くまで連れてきた。どうやら普通の木のようだ。なんの木かまでは分からないがそこまで俺の世界の植物との違いは見受けられない。


「ではマスター、マスターはどんな武器が得意ですか?」


 武器? 武器って剣とか槍のことか? 元の世界では武器なんか使ったことないし、元の世界では武器と言ったら銃が主流だったからなぁ、でも俺の得意な武器と言ったら。


「これかなぁ?」


 俺は拳を前に突き出す。爺にはいやというほど鍛えられたからなぁ、そこらでは敵なしぐらいには強かったし、というかこれ以外に剣とか使えと言われてもどうしようもないと思うしな。


「拳ですか、意外に男らしいんですね。ではこの木を二回連続で殴ってみてください。そしてそれを十回ほど繰り返してください」


 なんでそんなことをするんだ? 稽古とかでよく殴ってはいたが、なぜ今それをするんだ? まぁいいとりあえずやってみるとするか。


 俺はそこに立っていた普通の木を殴り始める。触感等も全く変わらない至って普通の木だ。こんなことをして何になるんだろうか? 俺は疑問を覚えつつも木を殴り続ける。


十回を超えたあたりだろうか、なにか頭の中でよく分からない効果音がなる。


「なんじゃこの音は?」


「それがスキル獲得音です。ステータスを見てください」


「ステータス? 何それ?」


 本当にゲームみたいだな。俺は違う世界にきたと思っていたが、その実ゲームみたいな夢を見ているのかもしれない。それならすべてに説明がつく、変な世界も変な設定も。まぁ俺自身厨二病みたいのだと自覚していたから、こんな夢を見るのも納得だ。


「はぁ」


 シロナちゃんが大きくため息をつく。


「なんだそのやれやれみたいな顔つきは!」


「やれやれ」


「本当に口にしなくてもいいだろ!」


 本当にこいつはむかつくな、さらにその幼い容姿だ。小さい子供にバカにされている気分になるな。


「まぁまぁ、落ち着いて。では頭の中でステータスと念じてください。そうすればステータス画面が現れると思います」


 俺は言われた通りにステータスと頭で念じる。そうすると俺の頭の中に何かウィンドウのようなものが出てくる。名前:リュウマ 称号:武帝 スキル:ダブル そのほかにも何やら数値のようなものも書いてある。


「見ましたか? そこのスキルという欄に『ダブル』というのが追加されてませんか?」


「ああ、あるな」


 たしかにそこにはスキル:ダブルとかかれている。確かダブルは二回攻撃のスキルだよな。


「そうですか、ではダブルのスキルを獲得することに成功しました。では次はダブルと頭の中で念じてください、口に出しても大丈夫です。その時に自分が二回パンチを繰り出す姿もイメージしてください」


 俺は言われるがままにする。頭の中でダブルと唱え、それと同時に自分が二回パンチを繰り出すイメージをする。


「うおおおおおお」


 そうして瞬間俺の拳は自動で二回連続突き出された。なんの意識もしてないのに勝手に出てくる。俺の体なのに何かおかしな気分だ。


「それがスキルです。ダブルはもっとも低級のスキルです。だから取得難易度も低いし、威力も最低です。もっと難しい条件になればなるほど基本的にスキルの威力は上がります」


 ほほー、まぁ木を殴っただけで最強の技が手に入ればいろいろ世界がおかしくなっちまうもんな。

「では基本は説明したのであとは移動しながら説明しましょうか」


「移動? どこに?」


「われらの国、ヒロノキアに」


 まぁこれが夢だっていうなら楽しまなくちゃ損だよな。せっかく俺の願望が叶ったんだ存分に遊ばしてもらいますかね。


俺はその王都とやらに歩き出す。未知への期待に胸を膨らませながら。

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