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女みたいな顔だからと男子校でいじめられ、引きこもっていた少年は国民的美少女となる。  作者: あざね
オープニング

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3/3

2.一難去って、また……?





「な、なんでこうなるの……?」




 ボクは広い会場の中、最奥にあるパイプ椅子に腰かけて震えていた。

 改めて自分の出で立ちを確認する。頭には金色のウィッグ、着ているのはフリルがふんだんにあしらわれたワンピース。足がスースーする感覚に慣れず、思わず内股になってしまった。

 目の前にはテーブルを挟んで、列を整理する仕切りが設置されている。警備員も数名配置されていて、それなりに厳重であるように思われた。



「大丈夫だって。見た目は完全にミライちゃんだからさ! 自信もって!!」

「持てるわけないでしょう!?」



 そんな状況に置かれて、恐怖やら何やらに震えるボクに声をかけたのはアキラさん。彼はどこか安堵した表情で、晴れやかに親指立てて白い歯を見せた。

 しかしながら、こちらとしては生きた心地がまったくしない。

 なので、ボクは最大限の恨み言を一つ。



「な、なにかお礼はしてもらいますからね……」

「はっはっは! 任せておきたまえ!!」

「…………」



 だけど、彼にはまったく響いていないようで。

 ボクはいよいよ、審判の時を前にしてうな垂れてしまうのだった。すると、



「それでは、整理券番号1番の方から――」



 ついに握手会が始まったらしい。

 もう、こうなったらどうにでもなれ。

 どうせバレたとしても、責任はアキラさんにあるのだから。そう考えて、ボクはゆっくり近づいてくる男性の波を待ち構えるのだった。









「いやー、大盛況だったね!」

「………………」

「ミコトくんも、途中からはかなり手慣れてたしさ!!」

「………………」




 ――なぜ、バレなかったのか。

 ボクは控室に戻って、自身のコンプレックスである顔立ちに恐怖心を抱いていた。

 それに対してアキラさんは、先ほどよりもさらに清々しい表情だ。ひと仕事終えて、心の底から安堵しているのだろう。直前の涙目はどこへやら、今ではとかくニコニコである。



「んー、しかし『お礼』か。そうだな、余ったグッズを無料で、とか……?」

「……いや、もう別に――」



 そんな彼がさっさと話を進めるのだが、もう細かいことはどうでも良かった。こうなったらさっさと帰りたい。帰って、ゆっくり休みたかった。

 引きこもりは引きこもりらしく、家でのんびりしたい。

 そう思った時だ。



「ちょっとアキラ! これ、どういうことよ!!」

「え……?」



 一人の女の子が、控室に飛び込んできたのは。

 見ればそこにいたのは――。



「(せ、せせせせ、瀬戸ミライさん……本物!?)」



 ずっと画面越しにしか見ることが叶わなかった憧れ。

 そんな少女が、思い切り目を吊り上げながらアキラさんに迫っていた。出で立ちは太ももを思い切り露出したハーフパンツに、オシャレな黄色のシャツ。サングラスとマスクをつけていたのだろう、手にはそれらが握られていた。



「ど、どういうこと、って……?」

「なんで握手会が終わってるのよ! アタシはまだ……!」



 ミライさんはボクになんか目をくれず。

 マネージャー兼現場責任者であるアキラさんに食ってかかっていた。その言い分にはどうもドタキャンした人物とは思えない口振りもあったが、とにもかくにも仲裁しなければならない。

 そう考えたボクは、震える声を抑えて割って入った。



「あ、あの……ひとまず、落ち着いて……」

「なによ!? てか、アンタその衣装――」



 だがしかし、彼女はボクの着ているワンピースを見るとヒートアップ。

 今度は綺麗な顔でこちらに迫ってきた。



「アタシの衣装じゃないの!? どうしてアンタが着てるの!!」

「え、あの、いや……」



 これは、かなりヤバい。

 そう思っていると、次に口を開いたのはアキラさんだ。



「それはキミが、いきなりキャンセルしたからだよ。ミライちゃん」

「あぁ……?」



 それに対し、ミライさんは輩のような声で振り返った。

 しかしアキラさんは怯むことなく、こう続ける。



「ミコトく――ちゃんは、キミの代わりになってくれたんだ。この子にはむしろ、感謝してあげてほしい」

「コイツが、アタシの代わりに……?」

「………………」



 そして、また彼女はボクを見た。

 だけど先ほどと違うのは、瞳に宿る色が怒りから好奇に変わっていること。値踏みするようにしてボクを見ると、しばし考えていた。

 いったい、どうしたのだろう。

 ボクがアキラさんに目配せをすると、彼も首を傾げていた。



「なるほど、ね。アンタ、案外可愛いじゃない」

「……そ、それはどうも…………?」

「よし、決めたわ」

「え……?」



 ――で、数分の思考の後。

 ミライさんは唐突に、邪悪な笑みを浮かべて言うのだった。





「アンタ、これからアタシの影武者になりなさい!!」――と。





 …………はい?

 ボクはしばし硬直。そして、





「え、ええええええええええええええええええええええええええええ!?」






 本日、二度目の絶叫をするのだった。




 

ここまででオープニング!



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更新がんばれ!




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