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Incapable  作者: てんてん
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第4章 お行きなさい 泣く側へ

正月帰省時に姉に言われた。


「ねえ、アンタ。ルミちゃんと高校一緒だったよね?今も交流あるの?」

「うんあるよ。頻繁じゃないけど。この間、夏美の結婚式で会ったばっかりよ」

「気を付けなよ」

「え?何を?」

「ルミちゃんの旦那...リストラされたんだって。次の職にも就かないで毎日家に居るって。会社の後輩がルミちゃんと中学まで一緒だったらしくてお金貸して欲しいって頼まれたって」


「えーーー」

正月から縁起の悪い話だ。


「ルミちゃんの旦那って隣町の人なんだよ。ルミちゃんひとりっ子じゃん。婿養子に入ったらしいけど、アンタ吉田って聞いた事ない?」

「んー?」

「隣町の吉田よ!」

「えーーーわかんない。」

「もーーアンタのオツムは...。ほら前に奥さん刺殺して子供も刺そうとしてって事件有ったじゃん」

「あーーーー!はいはいはいはい」

「父親が酔っ払ってたのも有ったけど子供が2人いて、どっちも男の子だから逃げるのが早くて助かったって」

「なんか有ったね、そう言えば」

「母親を父親に殺されて刑務所行きになって。親戚がどこも引き取りたがらなくて結局は施設に行ったんだけどね」

「うん、そうなんだ」

「その兄弟のお兄ちゃんと結婚したのよルミちゃん。アンタ結婚式呼ばれたでしょ?旦那の顔覚えて...いるはずないか」

「覚えてないねーーーー」

「その旦那がリストラされて占い師になったらしいの」

「なにそれ笑」

「弟がなかなかのイケメンでルミちゃんがお金貸して欲しいって言って断られた子の話ししたでしょ?その子に弟が詐欺行為って言うかさ」

「その子パワーストーン20万で買ったんだって」

「なんで買うの?」

「なんか、ルミちゃんの旦那の弟と付き合う事になるんだけど、そこから弟が何もかもうまく行かなくて。職は失うわ起業しようとしてもうまく行かない。何かのタイミングで占い師を知って鑑定して貰ったら、その後上手く行き始めて。それをそばで見ていたその子と結婚の話が持ち上がるけど彼女の親が猛反対で。父親が母親殺してるんだからさ。そこでその占い師に鑑定してもらうのよ。両親を納得させるにはって。そしたら数珠を20万で売られて買ったんだって」

「え?でも結婚まで進まなったの?」

「数珠買ったら弟と連絡が取れなくなったって。それでまた占い師に見てもらおうとしたらルミちゃんと占い師が出て来て車に乗って行っちゃったんだって」

「う....ルミちゃん...でもなんで旦那さんって分かったの?」

「それがルミちゃん見て、その子はてっきりルミちゃんも占い師頼っているのかと思ったんだって。それで中学の卒アル見て住所確認して行ってみたら子供にパパーとか言われてるの見て理解したって」

「え?お金貸してって言われて断ったら巧妙な詐欺行為で数珠だかパワーストーンだかを20万で売られて買ったってこと?」

「そう!」

「中学の同級生訴えればいいのに」

「狭い町で訴えただ何だってアレだって思って今回は良い授業料だって思う事にしたんだって」

「なんで弟って分かったの?」

「ルミちゃんのインスタを遡ってみて行ったら【義弟と】ってツーショット上げているのを見つけたんだって」

「ルミちゃん夫婦、弟も犯罪じゃん」

「お店で商品を売買しただけだからで済まされるっぽいよ。だからアンタも気を付けなさいよ」

「うん、わかった。お姉ちゃん教えてくれてありがとう」



恭子は帰りの道中にルミのインスタを見ていた。

随分遡ると吉田とルミちゃんのツーショットが有った。




吉田はきっとあの手この手で私から現金を引き出させようとするのだろう。


はっ!

ルミが結婚式で「恭子もやってみたら出会い系」って言っていたのは既にカモとして射程距離に位置付けられていたのかも。


もし「うん、そうねーー」なんて言っていたら

出会い系サイト紹介するよーとか言い出したのだろうか?

そこで吉田と出会う事になってたのかも。




「もしもし、お姉ちゃん?恭子だけど今時間大丈夫?」


恭子は姉の会社の後輩の女性に繋いで貰った。

ルミの高校時代の同級生でルミの旦那の弟が隣の部屋に引っ越して来たこと

最近交流があること

カモにされそうになっていること

LINEも交換していること


良かったらこれから私の家へ泊まりに来ないかと誘った。

吉田を誘き寄せて2〜3時間ほど居酒屋に行くから、その間に部屋に来て欲しい。

部屋の鍵は玄関横に植木鉢があるので

その下に隠して置く


吉田を千鳥足になる程度に酔わせ帰宅し

そこから詰めようと話し合った。


吉田は捲れている事も知らず。


畳み込まれるのは吉田の方だった。



「恭子さん、お部屋に到着しました」

姉の勤務先の後輩、田辺美奈より報告LINEが来た。


ーーーーーーーーーーー



「だって私、貯金なんてそんなに無いからさ。カモにされても甘い汁なんて吸えないと思う」

恭子の言葉に引き攣ってる吉田を見ながら

「なーんてねっ!アタシに霊感なんかある訳ないじゃん笑」

「どーしたのよ吉田くん、なに固まってるのーー???」

「もしもーーーし!!」

吉田は平静を装いながら

「やだなー恭子さん。僕の仕事は詐欺師ですか?笑」

「えっ?違うのー??」

おどけた風を装いながら吉田のボロが出るのを待つ。

「詐欺師だったら、もっと高級な建物に住んでますよ」

「だよねーー」

「吉田くん、ゴメンて。冗談にしても酷すぎだね。本当にごめんなさい。償いに今年の稲刈りは私も参加させて頂きます」

農家じゃないくせにね吉田くん。



新年会はお開きとなり恭子と吉田はアパートへ向かった。

「なんか私、まだ飲み足りないからコンビニ寄って買い物するから先に行ってて」

「恭子さん、僕ももう少し飲みたくて。良かったら僕の部屋で飲みませんか?」

「お邪魔していいの?」

「むさ苦しい部屋ですけど僕が恭子さんの部屋へ行くよりは良いかと」

「アタシの部屋でも構わないけどK-POPグッズが足の踏み場もないくらい散乱してるから片付けたら招待するね」

「あ、そうそう。つまみは実家から煮物と漬物を持って帰って来たの。お口に合うか分からないけど食べる?」

「僕、煮物めっちゃ好きです!」

「口に合わなかったら無理しないで言ってね」

「僕、素直ですから」

「おーー言ったねぇー」

美奈さんの前で素直になってね吉田くん。


恭子はひとときカモの振りをしてあげた。


恭子は美奈の前でたじろぐ吉田を想像し楽しんでいた。

その姿を吉田は自分の部屋へ招かれた嬉しさだと勘違いしていた。







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