魔導エアコンと二酸化炭素の有効利用
研究と並行して、私は生活の質(QOL)の向上にも着手した。
二歳の夏は暑い。しかしこの世界にエアコンはない。兄のウィリアムは「水魔法」で氷を作って涼んでいるが、それでは湿度が上がるだけで不快だ。
(生産魔法の真骨頂を見せてやる)
私は空気中の成分を分子レベルで操作し、特定の空間から熱を奪う「断熱圧縮と膨張」のサイクルを小規模に発生させた。さらに、不要な二酸化炭素を吸着・固定化し、炭化水素に変換して小瓶に詰める。
「(……これがプロパンガスの素だ。後でガスコンロの試作に使えるな。どこで、爆発させようか・・・ふっふっふ)」
と不穏な事を考えていると、
「エース様、先程からお部屋の温度が一定に保たれているようですが、これは一体……?」 セバスチャンが温度計
(この世界では魔法薬の反応を見るための道具だ)を持って首を傾げる。
「ただの換気だよ(^◇^;)、セバスチャン。効率的な空気の対流をイメージしているだけさ」
私は無邪気な子供の笑顔で誤魔化した。 四属性魔法の使い手が「火だ! 水だ!」と叫んでいる間に、私は分子構造を編み変え、熱力学を支配する。
(兄上、父上。あなたたちが信じている『はずれ』の力で、私はこの世界のインフラを根底から書き換えてあげましょう)
二歳児の野望は、静かに、しかし論理的に加速していく。




