『はずれ魔法』の真実
図書室に籠もって数週間。私はある事実に突き当たった。
かつて、この世界において「生産」や「神聖」は「聖なる四術」と呼ばれ、文明の礎だった時代があったのだ。
しかし、数百年前の「白バラ」と「赤バラ」の祖先が関わったとされる大戦において、軍事的な即効性を求めた結果、破壊に直結する「四属性魔法(火・水・土・風)」が優遇されるようになった。
(なるほど……。科学の歴史と同じだ。軍事技術への転用が容易なものが予算――つまりはこの世界における「名声」と「研究費」を独占したわけか。効率的で繊細な『生産』や『神聖』は、その習得難易度の高さから『コストパフォーマンスが悪い=はずれ』と切り捨てられた。なんという知的怠慢だ!)
私は怒りに震えた。
ポスドク時代、基礎研究の予算が削られ、目先の利益を追う応用研究ばかりが優遇されたあの屈辱的な日々がフラッシュバックする。
「……エース様? 顔が少々、般若のようになっておりますが」
セバスチャンの声で我に返る。
「……いや、失礼。少し、学問的な憤りを感じていただけだよ。セバスチャン、この『白バラ』の紋章を持つ家系の資料をもっと持ってきてくれないか?」
(イギリスで「般若」はないよね。イギリスのバラ戦争では赤バラ負けちゃったのでした。)




