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知のフロンティア図書室
翌日から、私の主戦場はランカスター家の広大な図書室へと移った。
執事のセバスチャンは、私が二歳児用の絵本ではなく、魔導理論の専門書や地政学の分厚い本を指差すたびに、片方の眉をわずかに動かした。
だが、彼は決して「それは無理です」とは言わない。
「エース様、本日は『中世における魔力伝導体の変遷』でございますか。なかなか……骨の折れる選書でございますな」
「ありがとう、セバスチャン。目次は私が読むから、第3章の『エーテル結晶の再配列』のページを開いてくれるかな?」
セバスチャンは無言で、しかし完璧な手際で指示されたページを開く。
私は彼の動きを観察しながら、一つの仮説を立てていた。
セバスチャン、彼はただの執事ではない。
身のこなし、魔力の隠し方。おそらく彼もまた、四属性以外の「何か」の使い手である可能性が高い。




