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四属性魔法の正体
この二年間、私はハイハイの合間に(あるいは積み木遊びのふりをして)、この世界の物理定数を測定し続けてきた。その結果、驚くべき結論に達した。
世間でもてはやされる火・水・土・風の四属性魔法。これらは、実は非常に「燃費の悪い、プリセットされたマクロプログラム」に過ぎないのだ。
•水魔法: 水分子を召喚するのではなく、空間の湿度を急激に結露させているに過ぎない。
•火魔法: 周囲の酸素を燃料に、魔力を熱エネルギーに変換しているだけ。
ならば、私の『生産魔法』はどうだ?
分子構造を直接指定できるこの力があれば、空気中の二酸化炭素(CO2)と水(H2)を還元・結合させ、メタン(CH4)やプロパン(C3H8)を合成できる。これに静電気程度の火花を添えれば、火魔法顔負けの火力が手に入る。
気化熱をコントロールすれば冷房も可能。真空状態を作れば風も起こせる。
(……結論。四属性魔法は、生産魔法の「限定的な下位互換」だ。なぜこれが『はずれ』扱いされているのか、理解に苦しむね)
私は、離乳食を食べながら、この世界の魔導学会のレベルの低さに、元ポスドクとしての優越感と、それゆえの孤独を感じていた。




