ちゃんこ鍋
「お前はもう、俺たちと来るしかないんだよ」
そんな言葉は聞こえなかった。ただ絶望だけ。今の俺には絶望しかなかった。
「うぁああああああああああああああ!!」
泣きぐずれる。
シンさんと支配人はこいつに。クロエは崖が崩れて海に落ちてしまった。俺は1人も助けられなかったんだ。大事な人達なのに…。ただ逃げることしかできなかった。なんて俺は無力なんだ。
俺がこいつらに目をつけられなかったらみんなは助かったかもしれない。すべて俺が招いたことだ。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
雨が強くなり、雷も降ってくる。
「早くしろ。俺は早く帰りたいんだ」
「・・・」
何も話す気力がなかった。思うのは謝罪の気持ちと死に急ぐ気持ち。
ここから落ちるか。
でも足が動かない。死ぬことが怖い。自分の中で死にたくないけど死にたいという矛盾が生まれる。どうすればいいんだよ。
バサバサを羽根の音が聞こえる。だが鳥の様な音ではない。
「あれは…」
上を見上げるとそこには雨、雷が降る中、光が反射して輝くような鱗を持っている1匹の龍が居た。
「絶滅したはずでは?」
とこいつは驚く。
龍はこいつを睨みつける。
「なぜ居るんだ。嵐龍、シャル!!」
・・・・嵐龍、シャルとは神に仕えた神龍の1匹です。500年前に絶滅したと言われていました。シャルは嵐龍の名の通り、シャルが居るところには嵐が起きます。シャルは風、雷を操ります。ちなみにシャルはこの国の名前になっています。
「シャル…」
LV1000000…
カンストしているだと。だがいいや攻撃食らえば死ねる。攻撃来るのを待ってよう。
「久しぶりに地上に戻ったが、歯ごたえがなさそうな奴しかおらん」
嵐龍はしゃべることができるのか。
「少し分が悪そうだな」
素直に認める。
「だがわざわざここに来たのは用がこいつに用があるからだ」
俺にだと?
「お前も狙っているのか?」
「悪いが命令なんでな」
「命令ね。一緒じゃねぇーかよ。もしかして俺と同じ命令者だったりするのか?」
「人間風情が我に命令できるとでも思っているのか?」
「そりゃそうだな」
「ではもらっていく」
前脚で掴まれ、宙に浮く。
「うわ!!」
少しびっくりした。
「だがな。いつかそいつは俺らがもらう。覚悟しておけ!!」
「くだらん」
と言って俺を掴んで飛んでいく。
20分くらい経っただろうか。とある山に着く。
ゴロゴロと雷が響き渡るここは
「雷鳴山だ。お前はここで修行してもらう」
・・・・雷鳴山。修行僧が山籠もりするためによく使うと言われています。雷は常に降っており危険と隣り合わせで修行するため精神力を鍛えられます。また強いランクの魔物が住み着いているためランク上げに最適です。
「・・・」
「ついてこい」
と言われついてきた先は道場だった。こんなところに道場があったなんて。
「メシ食え」
ちゃんこ鍋かこれ。
「食べる気力ないです…」
「いいから食え。我も食うから」
そういうと目の前の嵐龍は人のようになった。見た目は仙人のような感じ。
「長く生きるとな魔物は人化できるんだよ。さあ食うぞ」
言われるがまま肉団子を取り食べる。
「・・・」
あったかかった。ずっと雨で濡れた体を温める温かさ。
「我は誰かが来るとちゃんこ鍋を出すんだ。まあ我のポイントは野菜と肉の割合を4:6にするんだ。肉のほうをちょっと多くするのが我の好みだからな」
「おいしいです…」
俺は下を向いたままだった。
「お前、下向いたままだとメシがおいしく食えないぞ」
「今は前を向けないです」
「仲間を失ったんだろ。その気持ちわかるぞ」
「え?」
「なんで自分にはなにもできなかったんだ。と喪失感を感じるだろう」
「なんでわかるんですか?」
「昔の友人が、たしか600年前に死んだんだ。そこから落ち込んで100年くらいなにもできなかったよ。そっからこの雷鳴山に隠居するようになったんだ。隠居してから結構精神が落ち着いてな。今はこうやって道場開いてる」
「なんで道場開いてるんですか?」
「我は人とのつながりを大事にしてるんだ。でつながりを増やすためにやってる。道場生は少ないがな」
「ほら野菜食え」
手が止まっていたようだ。
「なんで道場生があまりいないか知ってるか?」
「わかんないです」
「主な攻撃手段といえば?」
「魔法とか武器ですよね?」
「ああ。そうだ。だから拳で格闘する武術なんて学ぼうとしないやつが多いんだよ。でどうやったら増えるか考えたんだ」
「どんなのですか?」
「剣術などの武器を教えようと思うわけ」
「できるんですか?」
「だからお前が実験台になるんだよ」
さらっとやばいこと言ったよ。
「肉食え」
「もらいます」
「やることは確定してるから頑張って修行に耐えろ」
拒否権ないじゃん。
「だがその前にやるべきことがある」
「え?」
「まだ落ち込んでんだろ?まずは元気になってくれ。元気になったらたくさんしごいてやる」
「野菜食え」
「ありがとうございます」
「もっと食えよ野菜。やっぱ肉」
「どっちなんすか?」
「両方だ」
「で元気になってもらうためにいい所連れてやる」
今の俺は景色見ただけじゃ元気にならない気がするが…。
「めっちゃいい所だ。酒飲めるし、いいやつが多い所だぞ」
「酒飲めないです」
一応、子どもだからな。
「そうか。悪い。でもまあいい所だ」
そんなに言ってるし本当にいい所なんだろうな。
「そうですか」
「野菜食え。やっぱ野菜。嘘だ。キノコ食え」
「ぐえ…」
キノコ苦手なんだよなぁ。
「もしかしてキノコ苦手か?」
「はい…」
「じゃあ肉食え」
「もらいます」
その後、肉、野菜、キノコを食い、鍋の中はだしのみになっていた。
「シメはどうする?」
「米あります?」
「米か…。ないな。そもそも米食わないからな」
この世界主食が米じゃないもんな。仕方がない。
「麺で」
「了解。ほらこんなんでいいか?」
すげぇラーメンみたい。この世界でこういう麺あったんだ。
「ちょっとした伝手にもらったんだ」
どんな人なんだろうな?気になるかも。
「じゃあ入れるぞ」
入れ、再度温める。
「ちょっと待つぞ」
「はい」
「そういえば話聞いていると思うがブロンをどうするか作戦立てよう」
「ちょっと待ってください。聞いてるって?」
「あれ?聞いてないのか?」
全く覚えが無いぞ。
「誰からですか」
「創造神様からだよ」
助っ人が来るってやつか。てことはもしかして助っ人ってこの嵐龍、シャル!?
「たしかに言われました」
「そうか言われていたか」
「でブロンのやつら憎いか?」
「憎いですよ。そりゃあ大事な人やられているので」
「そうか。だが今すぐにやれる訳じゃない。もっと時間が要る。奴らのこと全くわからないからな。もっと情報が欲しい」
「そうですよね…」
本音は今すぐにでも復讐したい。
「だから情報を集めたいんだ。修行が終わったら情報を集めてくれるか?」
「やります。それで奴らを倒せるならよろこんでやりますよ」
「よし。じゃあゆっくりやっていこう。お!麺出来たな。ほら食え」
「もらいます」
皿に入れる。
「で作戦だが…。色んな所行って情報を集め、何年か後に本格的に倒しにかかる。それでいいな?」
「はい」
麺を食い、鍋は食い終わった。
「よし。準備しろよ」
「はい。でどこ行くんですか?」
「そっか話してなかったよな。でも行ってから教えるわ。その方がいいだろ?」
「まあいいや。準備って言ってもなにも持ってないですけど」
「そうか。悪い。では早く行こうか」
「はい」
ということで俺たちは歩いていく。歩くってことはそんなに遠くないのかな?
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