まさかの魔力0
「弟子を励ましてくれてありがとうな。エリシャ」
弟子のアクセルは仲間を失って悲しんでいた。だからこの村に来て少しでも元気になってくれるようにエリシャに励ましてくれるように頼んだのだ。
「ほぼ素で楽しんじゃいました」
楽しんでいたのか。まあ嫌々やってくれるよりいいか。
「そんなにあいつを気に入ってたのか?」
「はい!!だってかわいいんですもん。さっき寝顔見ましたけど食べたくなる顔でした。でなんと言っても素直そうだし、何をやっても嫌そうな顔をしないんですよ。そこがいい。私の独占欲を溢れ出させるというか、なんというかもう本当におかしくなっちゃいそうです。でも悪いところも見つけました。それはアクシィは空気を読んで人に迷惑を掛けることを嫌っています。もっと迷惑を掛けてもいいって思ってほしいですね。まあでもそこがアクシィの良さなんですけどね。空気を読むのがうまいのは色々と役立ちますからね」
「でもやっぱりちょっと空気を読みすぎて自分を抑えるのは自分にとっても他人にとっても悪いことになりかねないので迷惑掛けることを覚えてほしいですね」
「そ…そうか」
なんかすごい剣幕で話していた。これが愛情ってやつなのだろうか?
「あいつのいいところ他に見つけたか?」
我自身、あいつの事まったく知らないからな。聞くことにしよう。
「いいところですか?アクシィのいいところはやさしいところですね。アクシィは言ってました。大切なものを守るためにシャルさんの弟子になったと。人の事を守ろうと思えるやさしさが溢れ出てていいなと思いましたね」
なるほどな。なりゆきで弟子にしちゃったけど。我の言っている事を理解してくれたんだな。どうやら決心がついた様だな。
「それにしてもアクシィはかわいいですね。寝顔にしても起きている顔にしても何をしていてもかわいいです。やさしい性格と顔の物理的なかわいさは反則すぎる。はあ本当に食べちゃいたいくらいかわいい。顔がかわいいことはもちろんですけど熱いハートを持っていていいです。ぐへへへ…やばい鼻血でそう。」
どうやら適任すぎたようだ。
「素直にお姉ちゃんって言ってくれたのはうれしかったなぁ。実の姉じゃないんですけどアクシィのお姉ちゃんになれてうれしい。これで少しは元気になってくれる手助けができてるといいのですが…。でもアクシィは絶対立ち直れますよ。そして強くなれる気がします」
「そうか。まあ強くなるという点は我がキッチリ指導するんでな。大丈夫だ」
「お願いします」
そして1日を終え翌日の朝になった。
「ふぁああー」
あれ?ここは?たしか俺は…。
あ!そうだエリシャの家で寝てしまって…。ということはずっと寝てたってこと?やばくないかそれは。
ふと横を見るとそこにはエリシャが居た。
「うわ!」
ということは添い寝してたってこと?やばいね。
「ん?ふぁあー」
起きてしまったようだ。
「アクシィおはよう!」
「おはようございます…。あ…あの。その俺ずっと寝ていました?」
「うん。かわいかったなぁ」
「ごめんなさい。迷惑掛けちゃいましたよね」
「いい?人に迷惑を掛けてもいいときがあるんだよ。ただそれがベッドで寝ることだっただけ」
「あ…はい」
すごい剣幕で言うので圧倒される。
「それに私は幸せだったんだよ。アクシィと添い寝できたからね。その迷惑を掛けたことで私が幸せになった。だから掛けていい迷惑はどんどん掛けていいから」
そういえば迷惑の掛けることを忘れていたな。空気読みすぎて。
「わかりました」
「はあー。しかし添い寝は格別だったなぁー。横見たらアクシィの顔があって幸せな気持ちで眠りにつけたよ」
「ひ!」
怯える声を出してしまう。
そんな朝から始まり、少し時間が経つと俺たちは道場に戻っていた。
「修行についていく覚悟は出来ているか?」
そんなの答える程ではない。もちろん…
「はい!!」
「と言ってもまずはなにを指導すればいいのか。うむ…」
迷っている様子だった。
「そうだ。まずは実力を知るところからだ」
なにをやるのだろうか。なにか持ってきたが。
「これは魔力を調べる水晶だ。手をかざしてみろ」
魔力を調べるのか!これでようやく魔法を使えるかもしれない。
よし早速手をかざそう。
俺が手をかざすと…
ピカーン!!と凄まじく水晶が光る。
「これは…」
めっちゃまぶしい!けどこれは俺がとてつもない魔力ってことか?
少し経つと光は消える。
「どうでした?」
「これは……」
めっちゃ溜めるじゃん。けどこれは俺がすごい魔力っていう確定演出じゃね?とウキウキしていた。
「・・・」
「お前珍しいな」
「え?それって」
「お前、魔力0だぞ」
「は?」
え?じゃあなにあの光は。それにあんなに溜めたのはなに?
「じゃあ魔法使えないってことですか?」
「そういうことになるな」
うそだろ…。魔法使いたかったのに…。泣くぞ。あんなにウキウキしてさ、こんな結果って恥ずかしくなってくるわ。例えるなら、テストでいい手ごたえだったのに結果はひどかったみたいな感じだよ。
「この結果でお前の指導方針が決まった。そしてそれは———」
「それは?ゴクリ…」
唾を飲み込む。
「お前のフィジカルを強化し、スキルを覚えさせる!!この2つだけだ」
「どうやってやるんですか?」
「筋トレだ」
「き…筋トレ」
この世界は基本的に魔法と剣術で戦うが、その中でも剣術は剣に魔力を込めて剣を強化する戦い方が基本のため、あまり筋トレをやる奴は多くない。
「用意するからちょっと待ってろ」
数分が経つとこの道場はジムみたいになっていた。
見渡せばダンベル、バーベル、プレートがある。
「まずは足腰の強化だ。スクワット。まずはプレート無しでやってみろ」
プレート無しって軽くないか?
バーに手をつき、肩に乗せる。
「うぐ…」
さっき軽いと言ったな。あれは嘘だ。めっちゃ重くないか?
・・・・ちなみにバーだけで20㎏あります。覚えておきましょう。
「1セット10回だ。それを3セットやれ」
「ぶぅうううんんん」
声は聞こえなかった。ただ踏ん張ってスクワットをする。
「ふああああーーー」
やっと1回だ。結構きついぞ。
「はぁはぁ」
息が荒くなる。だが燃えてきた。アドレナリン全開だ。
「一気に行くぞ!!オラァァ!!」
2、3、4、5、6、7、8、9!!!あと一回!!
「ウオォオオオオ!!オオオオォラァアアアアアアアアアア!!」
10!!やっと終わった。バーを元の位置に戻すと、床に倒れてしまう。
「ほら。水飲め」
「ありがとうございます!!ゴクゴク…」
オアシスだ!!ありがてぇ!!キンキンだぜぇーー!!!
「3分休憩だ。ゆっくり休め」
「はい。ゴクゴク…」
うめぇ!!なんだこの水。まじうまい。休憩に飲む水はうますぎる。
「結構いけるな。プレート入れるか…」
プレートを持ち、バーの側面に立つ。
「ちょ!なにしてんすか!?」
「大丈夫だ。10kg増やすだけだ。いけるだろ?」
まあ10kg増えるだけなら——
「なんだこれ重い!!」
10kg増えるだけでも結構違うさっきよりめっちゃ重く感じる。
「おい!!そんなもんか?そんなんじゃ大事なもん守れないぞ!!」
すると俺の中の何かが熱くなり始める。
「こんなもんじゃねぇだろ?俺!!まだまだいけるよな?」
「オォオオオオオオォォオオオオオオ」
上体を沈める。
「ラァアアアアアアアアアア!!」
そして上げる。
1回目!!よしできる!!できるぞ!!
「ググググ…」
歯を食いしばってやる。2、3、と続く。
そして一気にいく!!
「オララァアアアアアアアア!!」
4、5、6、7、8、9…
「ドラァアアアアアアアア!!」
10!!
バーを戻し、そしてまた床に倒れる。
「ぜえ。ぜえ」
息がさっきより荒くなっている。
「水飲め。あと1セットだ。踏ん張れよ」
「はい!!」
時間が経ち次のセットにいって無事、昇天しましたとさ。
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