世界とは残酷
この世界には奴隷というのがある。奴隷は戦闘に使ったり、欲を満たすためにある。自由を与えられず人として生きられない。つまり人権というものがない。それが奴隷だ。
俺自身、奴隷なんだが、今の現状に満足していない。今のままだと最悪死ぬ。栄養不足で死にそうになるのはもちろん。別の理由で死にそうになる。それは俺の1日を見ればわかる。
まず朝から夕方まで人身売買の店の檻で過ごす。買ってもらうためにな。
基本的に暇だ。俺の場合、あまり買ってもらえない。魅力というものがないのだろう。
すると俺に近づいてくる気配が…
「誰だ?」
「わわ…」
その気配は同じ檻の中に居たピンク色の髪の少女だった。どうやら驚かせてしまったようだ。
「あ…ごめん」
「う…うん。わ…私、クロエっていうの。君は?」
「俺?俺はアクセルという名だ」
俺、アクセルは8歳だ。7歳の時に奴隷として売られた。俺の職業才能がなかったからだ。才能がない奴は俺のように奴隷送りされるか、どっかに流される。魔物がいっぱい居る森や島、最悪、魔界の近くに流される。考えたくないな。
「アクセル?よろしくね。お互い買ってもらえるように頑張ろう」
笑顔でこちらを見てくる。
「ああ。そうだね」
俺、アクセルの話をしておこう。俺は実は転生者で前世の記憶がある。だから8歳にしては冷静なのだ。(自画自賛)平凡なロー家というところに生まれた。だが俺には才能がなかったし、剣の腕もいいとは言えない。だから奴隷送りにされたのだろう。どっかに流されなかったのはせめてものの情けと言われた。
「私、スキル使えるんだよ!見てて」
と無邪気に話す。
「うん」
「ピッカン!」
すると光るボールが出てくる。
「おー!」
正直この世界に来てスキルを見たことがなかったから新鮮に感じた。
「きれいでしょ」
ときらきらした目で感想を求められる。
それに俺は
「うん。1番きれいだよ」
「やったー。うれしいー」
「ねぇー。アクセルはどんなスキル使えるの?」
スキルか…。俺自身どんなものが使えるのかわかっていない。この世界に来て1度も使おうとしていなかったからだ。使う状況にならなかったからだ。戦闘をしてこなかったし、そんな状況になったことがないからだ。
「秘密だよ」
わからないのでそう言っておくことにした。
「えー。ケチ」
そういうので俺は
「ケチでいいの。俺は使わない」
「えー。なんで?」
駄々をこねるので、あることを言った。
「正確には今ここでは使えない。使ったらここら辺が吹っ飛ぶ。君を含めてみんなが危ないんだ」
真剣な顔で1つ作り話を言った。
「すごいの?」
「ああ。とてつもない威力だ。見せる時が来たら見せよう」
その時が来るかもわからないけど。
「わかった。ちゃんと見せてよね」
今とてつもなく罪悪感を感じた。
トコトコと足音がなる。
「ここは戦闘やら欲を満たすための奴隷がいますよ」
店の者の声が聞こえる。
「へー。じゃあ戦闘用の奴隷います?」
「はい。戦闘用ですね。こちらです」
向かい側の檻の近くに来る。
「ふーん。なるほど」
「どうでしょうか?気に入ったの居ましたか?」
「誰か来たね」
クロエが静かな声で言う。
「うん。少なくとも俺はないか」
「え?なんで?」
「さっき戦闘用って言っただろ?俺はそういうのに向かないからな」
「すごいスキル使えるんじゃないの?それなら戦闘でいかせるんじゃないの?」
「俺のスキルは仲間と戦う戦闘には向かないんだ」
とそれっぽいことを言っておいた。
「そうなんだ」
「そういうことだから俺は寝るね」
「えー。もうちょっと話そうよ」
「ZZZ」
「早!」
◇
「は!ここは!」
俺はさっきまで檻の中に居たはず…じゃあここはどこだ?
全体的に白が目立つ場所だ。神殿みたいのもある。
「なんなんだここは」
少し歩いてみるか。
「見慣れない場所だ。マジでなんなんだ?」
確か俺は檻の中で…檻の中で…。
そう考えると1つの仮説が出てくる。
「ここは夢の中の世界か」
俺は寝て、夢の中に来たと。これしか考えられない。
「俺、全然夢見ないはずなんだけどな。今日は特別ってことか」
いいね。なんかありそう。
「ラッキー」
「そこの者よ」
「!?」
なんか低音ボイスのイケボが聞こえる。
「ここだ」
後ろから声が聞こえたので振り返る。
そこにはさっきなかった。テーブルとイスがあり、イスには歴戦の雰囲気が出している人が一人。
「あ…あなたは?」
「我は”創造伸ゾディア”」
「創造神?」
「ああ。この世界を作った神である。お前に会いに来た」
「え?ゾディア様はなんで俺なんかに会いに来たのですか?」
俺と神様とじゃ差が大きすぎる。ふつうは会えない存在だぞ。
「俺なんかというな。自分を大切にしろ」
「は…はい」
圧すげー。
「でお前に会いに来たのはほかでもない。お前に与えるものがあるからだ」
「与えるものですか?」
「それは力だ。お前には力を与えよう」
「力?スキルとかですか?」
「ああ。この世界で生きるためのな」
「そしてお前には試練を与える!!」
「な…なんだってー--!!!」
いかにもって感じのリアクションになってしまった。
「成り上がるのだ。奴隷から。それが試練だ」
「でもどうやって?」
「だから力を与えるのだ。それで成り上がるのだ」
「なるほど」
「来い。今から力を与える」
そう言われたので近づく。
「はい」
「座れ」
「失礼します」
なんか面接みたいだな。
「今から基本的なスキルと回復スキル、使えるスキルなど色々なものを与える」
「手を出せ」
「?」
「早く出せ」
と急かされる。
「はい」
手を出す。
すると握手をし、
「・・・」
何かが流れていくような感触になる。
「おおお」
「OKだ」
「ありがとうございます」
「ステータスを見れるスキルを使ってみろ」
「?」
ステータスを見れるスキルだって?なんか本当に基本って気がする。
「ステータス確認」
と言われるがままやってみる。
・・・・ステータスを表示します。
LV1 名前:アクセル
種族:人間
所持スキル:ステータス確認 ポーズ 攻撃強化スキル など
攻撃力E
防御力E
魔法攻撃力E
魔法防御力E
「すげぇ。ってこのポーズってなんだ?」
「使うときが来たら使ってみろ」
「あ…はい」
やっぱ圧すげぇ。
「攻撃力とかに書いてあるアルファベットはどれくらい強いかの数値だ。Fが1番下でSまである」
「じゃあ下から2番目ってことか。・・・」
それって…
「伸びしろがめっちゃあるってことでしょ。やったー」
いいね。楽しくなりそうだ。
「おお。そうか。では武運を祈る」
◇
「は!」
起きたみたいだ。
「ぐッ!」
地面で寝たせいかめっちゃ痛い。
「起きた!暇だったよー」
「そっか。ごめん」
「じゃあ話そ」
「うん」
「聞くけど。さっきの人は?もう帰った?」
「うん。そうだよ。結局誰も買わずに帰ったよ」
ここには結構強い奴とか居たんだけどな。見る目がなかったってことか?それとも見に来ただけでまた来た時にでも買うとか。
「そっか。ところで俺どれぐらい寝てた?」
「え?時計ないからわかんないよ。でももう夕方くらいになるかな。それぐらい寝てたと思うよ」
「そっか。もうそんなくらいか。そろそろ行く時間か」
「行くってどこに?」
「もうすぐ呼ばれるよ」
するとクロエは察したように
「うん」
と言った。
「おい出ろ。お前」
呼ばれたか。夜が近づくと始まるものがある。
それは…
「地下闘技場の試合」
無作為に抽出された者だけが試合を行う。その中で俺は選ばれてしまったのだ。
俺は今日から地下闘技場の試合を行う。生きるか死ぬかのデスマッチを。




