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第1話 記憶想起と新たな職業

 僕の名前はグラン・ラフトル、今は原因もわからない高熱で床に伏しています。あと、僕は転生者らしいです。


 = = = = =


「あぁ~、いやされるぅ。ルンちゃんの肉球はいいでちゅね~」

 仕事の疲れをいやすために今は猫カフェにきている。他人の目が痛いが今はそれどころじゃない。猫のルンちゃんはいつも僕にくっついてくれる。ありがてぇ~。

「お客さん。そろそろお時間……」

 あぁもう時間か、金がないからフリータイムが買えなくてかなしいな。

「すみません。すぐ行きます」

 さすがに人と話すときは緩んだ顔を直す。店員にも若干引かれているけど。

 お金をさっと払い店を出る。名残惜しいけど帰路につく。

「明日も仕事か、今日は比較的に残業が少なかったから間に合ったけど、次に来れるのは何か月後か……」

 普段は残業多すぎて家に帰れないから、動物の動画を見て落ち着いている。それでも足りないけど。

「あぁ。動物エネルギーが足りない」

 今度はないにも等しい休みの日があるから動物園行ってみようかな。てか会社なんで労基にばれないんだよ。

「あぁ、どうせなら動物に埋もれたいなぁ」

 ドゴンッ!

「……?」

 体が元居た位置から数メートル離れている。しかも右目からは何も見えない。

 全身が動かない。遠くから女性の悲鳴と救急車を呼ぶ声が聞こえる。

 そこで理解した。俺、車に引かれて死にそうなんだな。てかもう死ぬのか。

 意外と冷静な自分に驚いた。多分、ブラック企業からの解放と動物にもう触れられなくなる悲しみがプラスマイナスをゼロにしているんだな。

 意識が薄れゆく中で俺は願った。

(来世は動物園を作って一生を愛らしい動物にささげたいな)


 = = = = =


 てな感じ、僕は客観的にこの出来事を見ていたんだ。

 なんか思い出したってよりか、思い出させられたって感じ。前世の俺と今世の僕が融合したと思う。

 自分自身、この出来事を冷静に分析している自分が、驚きを通り越して笑いが出てくるよ。

 床に伏している自分は今頃うなされているのかな?


 次の日、僕は普通に目覚めた。まるで何もなかったかのように。

「なぁグラン。その調子じゃあ心配した俺がばかみたいじゃないか?」

 頭を掻きむしりながら目の前に立っているのは、僕のことを拾ってくれたドリス・マッカーン。ベテラン冒険者をしている。

 ほかの人から聞いたけど、うなされている僕を四六時中見ていたらしい。そりゃあ三日間目を開けなかった子供を置いておけないよね。

「だいじょーぶ!ドリーはいつもそんな感じだから!」

「それ皮肉か?4日前はそんなこと言わなかったのに」

 小声で「おちおちボーイが……」って言いながら悲しんでる。ドリーは愛称ね。

 今の時間は昼過ぎ、さっきご飯を食べたから、ドリーを置いて家を出る。

 目が覚めて初めての外。今までは興味なかったけど前世の僕のおかげで、今はものすっごく動物に会いたい。いや、会わなくては!

「るんるん!ねーこ、いーぬ。あーいたーいな!」

 僕は6歳!前世を合わせれば34歳かな?物心ついてからまだ1、2年だからこの世界の知識があまりない。

 知ってるのは、この世界は前世で言う異世界で、ドラゴンとかが山岳にいる世界だ。あと、物心ついて数年でしょくぎょう?ってのがもらえるらしい。そのしょくぎょうによって、使える技が決まるらしい。前世の僕に言えばスキルになるのかな。楽しみだなぁ。

 もっちろん魔法もあるよ!動物の動画と一緒にライトノベルも嗜んでいた僕にとってはとっても都合がいいね!魔法は誰でも使えるけど、自分の属性によって系統が決まって、さらに魔力ってのも人によって違うらしい。転生者の僕は特別なのかなぁ。期待しないでと言われても期待しちゃうよねぇ~こういうのわ。

「いた!」

 近所に住み着いていた野良犬がいた。もちろん異世界仕様で翼がある。

 前世には狂犬病とか恐ろしがられていたけど、そんなもので僕の動物好きは抑えられない。

「あっ!まってよぉ」

 逃げられた。走って向かったのが悪かったのかな。

 前世じゃあ、猫カフェぐらいしか触れ合える瞬間がなかったから、あと動物園のふれあいコーナー。

 あの会社は今後一生憎むべきだな。

「はぁ~」

 どっかに飛んで行ってしまう犬を悲しく眺める。

 まぁいいか、ゆっくりと寄り添っていけばいいから。

 僕はスキップしながら村を回る。この村は、俗にいう辺境の村で、交通網がなく自給自足の生活が普通だ。唯一冒険者ギルドがまどうぐ?というので都心と情報交換している。職業も農民(アグリーコア)釣り人(オーバン)が普通でノーマルで、ドリーが白騎士(アルドゥスマイルス)で村長が統治者(プリンセプス)という職業でレアだ。

 動物を探していたらもう黄昏時だった。月は前世より少し大きくて大きな亀裂が入っている。なんか神話の大戦である人がつけたらしい。ドリーに教えてもらった。

 家に帰ると、意外と家庭的なドリーが料理を作って待っていてくれた。普段の仕事で疲れているだろうに。無精髭の不器用そうなおじさんが作ったとは思えない綺麗な楕円体のオムライス、ケチャップの代わりにトマトをつぶして塩味をきかせたトマトソースがかけてある。

「今。なんか悪いこと考えただろ」

 ドリーに図星をつかれた。

「いやぁ、そんなことはないよ」

「はぁ~、まぁいい食え。俺の手は世界一だからな!」

 ニコニコな笑顔の前でそれはないだろ、と思いつつスプーンですくって口に入れる。

 うまい、いやうますぎるから何も言えない。

「はっはっは!そこは変わらなくて安心したぜ。じゃあ俺はギルドからの依頼で夜の討伐クエストに行ってくる」

 最近よく討伐に行っている。

「最近討伐の依頼の回数多くない?なにかあったの?」

「いやぁ~俺もよくわからないな」

 そういえば、ドリーはこれしか言わなかったな。何か隠しているのような顔だし。

 僕は頷きながら、食事を済ませて寝る準備をする。

 ベット、といっても藁に薄い布が敷いてあるだけの簡易的なものだ。

 ちなみに枕はあまり好きじゃないからおいてない。気温的には暖かいから布一枚でも十分快適に寝ることができる。

「じゃあ行ってくるから。おやすみ!グラン」

「おやすみなさいドリー」

 ドリーがろうそくの火を消してから外に出る。

 僕は、今日走り回ったせいかすぐに眠ってしまった。


 = = = = =


「そろそろかなぁ~?あ、見え始めた」

 眠ってから少しして意識がはっきりとした。そして白い空間と僕より明らかに年上の女性がいた。白いワンピースに白いハット、体のラインがはっきり出すぎじゃないかな?

 その育ちのよさそうな女性はこちらの顔色を窺うように顔を覗き込んでいる見ている。

「すみませんでしたぁ!」

(……?てか誰ですかあなた?!)

 さすがに冷静になれない。目の前に現れて数秒で土下座されたらさすがに困る。

「おっと失礼。私にしては焦りすぎました。自己紹介からですね」

 おっほんと咳払いしてから、気を取り直したようにしゃべりだした。

「私の名はリリス・オロローラ、別名黎明(れいめい)の女神である。今回はそなたに謝罪をしたい。今回の転生もどきは私のミスで前世のそなたが死亡してしまい。条例に反して第二の人生を送らせようと独断で判断した結果である」

 おっとすごい情報量だ。女神?ミス?第二の人生?

(えっと、つまり僕はあなたのミスで死んで勝手に転生させられたんですか?)

「まぁそうじゃな、ここまでしてしまったなら、もう最後までしてしまおうと思い、今からそなたにいくつかの能力を授けたい」

(ちょ、ちょっと待ってください。話が急すぎますよ)

「いいでしょ!もう授けてしまったし」

 これがミスをした女神の態度か。まぁ悪いことはないからいいかな、てかメリットのほうが多いな。

「では説明をしよう。そなたに授けたのは職業、神獣の盟主(ドミナス・ディヴィナ)と特別スキル、創造(クリエイティブ)という」

(特別スキルって?)

「職業に属さない、全く別次元のスキル、といった説明が一番正しいかな。一応、持っている人の魔力に依存するが、そなたは大丈夫のようだな」

 あ、ふーん。まったくわからにけどわかった。とりあえず強いんだよね?それ。

 僕の直感が言っているよ。職業もスキルもやばいやつだって。

「あら、すみませんね。もう時間のようです。スキルと職業は独学で使ってくださいね」

 時間?あぁそうかこれ一応夢なのか、って最後丸投げじゃない?ひどくないかそれ。

「次に会えるのはいつかは分からないけど頑張ってね。達者で」

(はぁぁ~わかりましたよ。頑張ります)

 大きくため息をしたら、意識がだんだんと遠のいてきた。

 あの女神、結構清楚に見えて身勝手だったな。

 明日、さっそく使ってみよう。

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