代償!
『いやいやいや、何してんのお前』
気付いたら、真っ白い空間にいたんですよね。ええ。覚えてますよ。神と名乗る者の第一声は。まあ、言わんとすることはわかりますよ。でもま、揚げ足を取らせてもらうとすれば、神を名乗る者がたかだか一般人の奇行に狼狽えますかね?っていう思案も思い浮かんだわけですが、まあ藪蛇でしょうな。
それはそうと、これは輪廻転生というやつでしょうか?
輪廻転生とは、人が何度も生死を繰り返して新しい生命に生まれ変わることを意味する言葉です。
仏教では、魂が生まれ変わる先の世界を「六道」と呼び、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の6つに分けられています。この六つの世界を「六道輪廻」と呼び、生前の行為の善悪によって死後の行き先が決まるという考え方です。
仏教では、輪廻することは苦行ととらえ、そこから抜け出すことを「解脱」と呼びます。解脱を達成することは、苦しみからの永久的な解放と、究極的な平和の状態である「涅槃」に到達することを意味します。 このように聞いたことがあります。
「あの、ここはどこでしょうか?」
『俺さ、神様を始めたばかりなんだよ。これ、ベテラン案件だろうが!』
当時は驚きましたよ。それはそれはもう、質問に答えないのはそうなんですけど、骨…なんですよね。全身、骨!神と名乗る者は相当困っておいででした。私も困っておりました。死んだと思っておりましたから。困りました…本当に困ってたんです…当時は…
『消滅させるしかないと思う。』
その神と名乗る骸骨の左の目の穴から目玉が出てくるんですよ。一体どういうことかと思いましたよね。一定の思考をすると…ある結論に辿り着いたんですよ。神であるからには、なんでもありなのではないのかと…しかし、それをよそに私は死刑宣告を喰らうことになるんですよ…
『だよな。うーん、わりい!消すわ!』
「待って!待ってください!私が何をしたって言うんですか!」
思わず叫んでしまいました。もちろん私が犯した罪は覚えています。勿論、許されることではないでしょう。ストーカーをされてると勘違いして、女性に局部を見せてしまったのですから。しかし、改めてそれを審議にかけられ、結局ダメでした!となると不思議で、抗いたくなるものなのです…人とは…恐ろしい…恐ろしいものなのですねぇ…
『チ○コを女性に向けたら流石に消えるしかない。終わってるよ!思想が!ま、そういうこった。あばよ!』
どうしよう…どうしようと思いましたね。私も。一発ギャグでも披露すれば、許してくれるんでしょうか…?そんな匂いを…同類の匂いを感じたんです…当時は…火事場のバカIQと言ったところでしょうか?
『待って!もっと慎重になろうよ。あたし達には、罪の本質が見えていないのかもしれない。そもそも、彼の被害妄想癖は───』
消滅だけはしたくない!消滅だけは…どうする…どうする…当時はそれだけを考えていました。今思えば不思議ですよね。肉体を失い、魂になって尚、生存本能が働くなんて。この現象を私は未だに解明できていません。
『めんどくせぇことは考えないの!俺は!待たねえよ!無理だわ!俺にはどうしようもできん!呪うなら、自分を呪いな!あーばよっと!』
「わかりました!一発ギャグを致しましょう!あなたが笑ったら、私の消滅は取り消していただきたい!」
藁にも縋る思いで、叫びました。しかし…
『いやもう無理!もうお腹いっぱいだって!お前センスありすぎるからっブフッ!なんなんだよ!アイドルにストーカーされてると勘違いしてチ○コ丸出しでイッヒッヒッヒッヒ!トラックに轢かれるって!俺の負けだよ!ブヒヒヒッ!アーッハッハッハッハ!完敗だ!』
禍々しい魔法陣が足元に照らされる。
『ちょっと待ってってば!あーもうごめんね。間に合わないから、兜に転生させてあげる。頑張ってね。寿命も無いし、朽ちることも壊れる事もないよ!満喫してってね〜!』