表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

プールの底の人魚達

 進藤春香は、深海の如く深いプールの奥底へ、ゆっくりと沈んでいく。

どうしてこうなったのか……。


 親の仕事の都合で田舎町の中学に転校してきた春香は、なかなかクラスに馴染めない日々を送っていた。

 そんな時、『この学校のプールから夜〇時になると、奇妙な歌が聞こえる』という怪談じみた噂を耳にする。

 オカルト好きの同級生達の誘いで夜中のプールに忍び込む春香。

 しかし足を滑らしプールに落ち、意識を失う――。


「……もし、…………も……し…………」

 朧気な声が春香の鼓膜を揺らす。

「……もしもーし!!」

「ふぁ!?」

 春香は『ビクリッ』と身体をうねらせ飛び起きる。

「お姉さん、大丈夫ですか?」

「え――」

 目を覚ました春香の眼に飛び込んできたのは、一人の女の子。赤い長髪、青い瞳、真っ白な肌、そしてチューブトップを着ている。……そこまではいい。

 問題は腰から下だ。ルビー色に煌く鱗に覆われた魚のようだ。これはもしや、御伽話の絵本でよく見る――

「人……魚?」

「ええ、そうですよー」

 人魚の少女ボニーは宙をフワフワと漂っている。

 その時、春香は自分が水中にいることに気づいた。水中だというのに、仕組みはわからないが呼吸はできる。


 春香はボニーに手を引かれる形で、すいすいと水の中を遊覧飛行をする事……二、三分。

「見てください春香さん。これが私達、人魚達の国【トリトン】です」

 見えてきたのは、巨大な城を中心とした海底都市だった。

 どういうわけか学校のプールの底は、異世界の人魚の王国と繋がっていたのだ。

 そして何やらあちこちから、歌が聞こえる。透明感のあるソプラノボイス、重厚感のあるバリトンボイス、それを彩るかのような多種多様な楽器の調べ。

「わぁー、街中から歌が聞こえる! そういえば人魚って、なんとなく歌が上手いイメージがあるよねぇ―」

「はぁ……」

 はしゃぐ春香をよそに、ボニーは萎れた花のように首を垂れる。

「ん? ボニー、どうしたの?」

「いえ、実は……もうすぐトリトンで、音楽祭があるんです。けど私、歌が下手で……このままだと、出さ せてもらえないんです。だから……ずっと誰も見てないところで、練習してるんですけど」

「歌の練習? あ――」

 奇妙な歌の正体は、ボニーだった。

 ピアノが得意な春香は、その後ボニーの練習に付き合う事に。こうして、プールを介して異世界を行き来する日々が始まった。


今回のテーマは「プール」という事で

人間の少女と人魚の話にしたんですが

リトルマーメイドにインスパイアされた感じがあります


活動報告も書きますのでよかったらどうぞ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ