⑦これもご縁。リリアンヌの為に頑張ってみようと思う桜様。
翌朝目覚めてしばしボーッと天井をみる。
もうリリアンヌの身体になってから何度目かの朝。
自分の部屋だとホッとするリリアンヌの感覚と、若い女性の部屋に何だか落ち着かない桜の感覚が同居する不思議な気持ち。
何故か朝から少し泣きたくなる。
ふーーっと息を吐き、気持ちを落ち着ける桜。
昨日の話し合いを思い出し今日から自分が取るべき行動を組み立てていく。
リリアンヌはとても優しく我慢強い子である。
が、それと同じ位周りに助けを求める強さがあればと思ってしまう。
それでもリリアンヌは良く頑張ったと思う。
私がリリアンヌちゃんの身体に入ってしまったのも何かの縁。
彼女がもう一度自分の人生を取り戻したいと思えるように、少しでも現状を変えてしまいたいと思う。
胸に手をあてて、
「今日から一緒に頑張ろうね!」とリリアンヌに話しかけベットから降りる。
小さく「はいっ。」と聞こえた気がした。
そこにノックの音がしアンが入ってくる。
「おはようございます。桜様、リリアンヌ様。」
「おはよう。改めてまして山本桜です。よろしくね。」
「はい、桜様。」
一部の使用人達にもリリアンヌの現状について認識の共有が在ったようだ。
アンもリリアンヌの専属として、その中の1人に入っている。
「今日はお顔の色もよろしい様で安心致しました。」
そう言ってテキパキと私の支度をしてくれるアンにお礼を言って食堂へ。
まだ、ぎこちないながらも会話をして学校へ向かう桜。
馬車の中でリリアンヌへと語りかける。
「リリアンヌちゃんは学校生活どうしたい?
まず、嫌がらせをしてくる人達にはしっかり対処するでしょ。
それから、やっぱり学生生活お友達が欲しいわよね!
楽しくお喋りしてお昼をいっしょに食べて!勉強を一緒にするのも良いわよね!」
(「はいっ!お友達欲しいです!」)
「そうよねっ!!」
思わず返事をして、ビックリして固まった桜。
(「あっ、あの、桜様、私、リリアンヌと申します。」)
「ふふっ。あはははは。あっ、ごめんなさい。この笑いは嬉くって。
やっと、リリアンヌちゃんとお話し出来るのね!
私は桜、リリアンヌちゃんよりずいぶん年上のおばあちゃんだけどもよろしくね。」
(「私のせいで桜様を色々大変な事に巻き込んでしまい、何とお詫びしたらよいのやら。」)
「ふふっ。本当にリリアンヌちゃんは真面目で優しいのね。
私に身体を乗っ取られたって怒ってもいいのよ!」
(「とっ、とんでもありません。私がもうこんな人生経験嫌だ。こんな自分なんて嫌だって思ったからきっと………。」)
「ねぇ、リリアンヌちゃん。こんなおばあちゃんでも貴方の為に出来ることがあるんじゃないかしら?生きてて良かったって思える人生になるように一緒に頑張ってみない?」
「貴方は素敵な子よ!
周りの人々を思いやれる優しい子だわ。
それにとても頑張りやさんですもの。
誰にも馬鹿にされたり、蔑まれたりしていい人じゃ無いわ。
何より、自分をもっと大切にして欲しい。そのお手伝いをするためにリリアンヌちゃんの所に来たんじゃないかってそんな気がしているのよ。」
私がそう話し掛けると、リリアンヌは泣き出してしまった。
でも、この涙は悲しい涙では無いことが伝わって来たのだった。
やっとリリアンヌとコミュニケーションが取れて大喜びの桜様です。
今日もお読み下さりありがとうございます。