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お題シリーズ4

転んでもいい

作者: リィズ・ブランディシュカ



 スケートって難しい。


 体を横に移動させるだけなのに、どうしてこんなに難しいのかしら。


 私は住んでいる町のスケートリンクに来ていた。


 友達の助っ人として、スケートショーのモブをすることになったんだけど、壊滅的にすべるのがへたくそだから、彼氏につきあってもらって特訓しているのだ。


 他の人に頼めればよかったけど、スケジュールがあいている人が私しかいなかったから、頑張るしかない。


 けど、うまくいかないな。


 ちょっと体勢をくずしたら、すぐにすってんころりん。


 お尻とかが痛くなっちゃう。


「いたたたた」


「転ばないで」って私の彼氏が言うけれど、転びたくて転んでるわけじゃないのよ。


 でも、何回も転んでいるのに見放さないでずっと手を握ってくれる彼氏が優しくてにやけてしまう。


「こら、ふざけてないで練習する」

「はーい」


 幸せだな。

 と思った。


 転んでもいいと思っててくれる存在が、傍にいる事が。


 私は、今までたくさんの勉強をしてきた。


 完璧主義者の親がいたから。


 常に百点を要求されて、九十九点だと失敗あつかいされてきた。


 たった一点の差で、ゴミを見るような目で見られてきた。


 その経験が、心に突き刺さっている。


 勉強だけじゃない。


 何かに躓けばそのたびに冷たい目で見つめてくる。


 私は特に運動神経がだめだめだったから、体育祭とかは悲惨だった。


 でも、彼は違う。


「できるまでつきあってやるから。ちゃんと練習しろよ」

「分かってる。いつもありがとね」


 文句をいいながらも温かく見守ってくれる彼の存在が嬉しかった。


 次もきっと転んでしまうだろう。


 あと何十回はきっと絶対転んでしまう。


 でもその失敗を恐れる事はないのだ。


 彼の前では。



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