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老後福祉従事者からの愚痴  作者: みのむしの愚痴
7/11

施設入居の中で、私が心に思う、葛藤

一時期に比べ、介護関係のニュースなどが飛んで来なくなった。


それは置いておいて、以前に少し書いたのだが、とりあえず、親が心配だから施設に入れておきたいと思う考え方は、私としては、危険だと思っている。


老後で、心配だから施設に入りたいという考え方も危険だと思っている。


施設に入った場合。

人の出入りは常にあり、人の行き来があるのが家ならば、全てから切り離されるのが施設である。

頻回に面会に来られる方もいる。

しかし、泊まっていける施設は、意外と数が少ない。


今は、この現状のせいで、面会といっても刑務所の面会のようではあるけれども。



家と施設ではやはり、まったく違うのだ。


実体験として、施設で生活する苦しさを。私が、実習で何日も泊まっているから分かっているつもりである。

実は、私は最低の学生で、まったく出来が良くなかったので、人よりも多く実習をしていたりする。

その上で、人より多めの泊まりの実習をしたとき。


寂しさ、心苦しさが募ってしまった。

最後は、何がなんだか分からないが、とにかく帰りたい衝動がこみあげてきた。


入所しても、そうだのだろう。

ふとした時に。

知り合いがいない。

自分の空間が無い。

自分の時間が無い事に、心が悲鳴を上げてしまうのだと思う。


だからこそ。

私は、ずっと思っているのだ。

施設に入るのは、【生活限界】を迎える時。

ほんとうにギリギリであって欲しいと。


なのに、今の施設には空きが無い。

今入らなければ、自分が生活できなくなった時に入れなくなると思い、まだまだ家で生活できるレベルで、施設に入ってしまう人が多い。


ロングショート、ロングケアを使い、入所のようになってしまう方も多い。


施設側としては、施設稼働率を上げなければ、職員に十分な量の報酬を上げる事が難しい。

そして、正直。働く側としては、生活限界を迎えてしまった、重度認知症老人より、要介護2か、1でもおかしくない、わずかな手伝いのみすれば良い方を入れてもらった方が、助かるといった心情もあったりする。


それゆえに、本当にどうしようも無くなった時、家族が限界を迎えてしまった時。

本人が限界を迎えてしまった時。

入れる施設が無い、この状況こそが悪なのではないのだろうか。


家で生活しろと、政府が言っても、体制も、制度も、まったくもって“口だけ”なのだ。


施設を昔“姥捨て山”と言っていた時代もあった。

しかし、今ふと現状を見回せば、結局今でも、施設は“姥捨て山”なのではないだろうか。


仕事をしながら、施設に入って何が悪い。

施設の中で、内職をして何が悪い。

営業の方が、特定の入居者に、仕事の話をしに来て何が悪い。


こんな事を書けば、私たちは家政婦ではないと言うかも知れない。

なれば、施設に入るだけの値段で、月、5万から、10万程度で雇える家政婦制度を作っても良いではないか。介護も込みで。


結婚していない、独り身の老人は永遠と増加し続けるのが目に見えているのに、あまりに動きが遅すぎる。


正直、要介護4であっても、折り紙や、封筒貼りなど出来る方は結構いたりする。

施設で仕事をしていますと言う記事が、ドヤ顔で張り出されるのではなく。

当然でしょ。

生きているのだから、社会生活から切り離されるのはおかしいよね。と言える社会になって欲しいと思うのだ。


それが無いから。施設と言う空間が、隔離された世界であるから。

私は、ギリギリまで家にいて欲しいと節に願うのである。



次に、施設で良く起きる問題。


精神薬問題である。


夜中、起きて騒ぐ方。

昼夜かまわず、怒鳴り散らす方。

他の利用者を殴る方。

夜中、一睡もせずに歩きまわり、誰彼かまわず布団に入って眠る方。


この業界で、仕事をしていれば、必ず一人は見かけるであろう方。


認知症改善薬も、必要であるのではあるけれど。

現場としては。

介護をする側からの切望でいえば。


この症状を抑える方法を考え出して欲しいのだ。

良く出る精神薬は、昔のロボトミー手術の延長であるような薬でしかなく。

抑うつ剤は、飲んでいても、躁鬱の落差が激しく。

睡眠導入剤は、本人に眠る意思の無い方にとっては、全く効かない物である。


なのに、激しいと私たちが思う方の自身の生命と、身体と、精神の保全。周りの利用者の精神と、身体安全の保全のために、薬の力を使う事はどうしても必要になってしまう時がある。


というか、使用しなければ、職員が鬱になる。

傍目から見れば、虐待。薬物による拘束であろう。


日中散歩をすれば、気分転換をすればいいと言う話もあるが、そういう方に限って、嫌がるし暴力に発展する可能性もある。

さらに、現状。

人出不足が激しい状態で、しかも今のコロナ禍の中。

外に出るのがためらわれてしまう。


しかし、落ち着いていただかなければ、その方は、出て頂くしかなくなる。

家に戻り、落ち着けばいいのだが、地区のコミュニティーの中で、施設内と同じ事をしてしまえば、最悪警察のお世話になってしまう。


日中も、夜間もずっと寝ていたり、無気力になってしまう事が多い、この薬たちを使う事は少なくない。


正直、睡眠導入剤や、睡眠剤は、結構な方が飲んでおられる。

その上で、さらに激しい方に、強力な薬を使う事になってしまう。


勘を抑える漢方もあるのはあるが、どうしても対処しようがなく、薬を使い落ちてしまった方を見ると、良かったのか自問自答してしまう。


これも、もしかしたら、家に帰れば。酒を飲む事で。もしかして、アルコールの力で、落ち着いていられたのではないだろうかと思ってしまうのだ。


それでも落ち着く事が出来ないのであれば、それは本当の精神医のお世話になるしか無いのではあるけれど。


眠れない。寝れないのは、辛いものである。

しかし、認知症の周辺症状から来る不眠などの問題行動であれば、本人に自覚はまったく無い。


イライラが溜まっていたとしても、何故イライラしているのか原因を忘れてしまっている事が多いからだ。

覚えてないのに、終始イライラしている方というのも時々見受けられる。


気性の激しい方に対して、落とす事なく、普通の少しでも落ち着いて生活してくだされば、職員のストレスも、本人もストレスも軽減されるし、若い子の離職も減ってくるのではないかと思ってしまうのだ。













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