介護業界で、虐待や、職員のいじめはなぜ起きるのか
虐待という言葉が、飛び交う事が多い介護業界。
虐待は、絶対にしてはいけない事である。
しかし、起きてしまう事でもある。
おむつ交換中に、顔をいきなりビンタされて、思わず反射的に手を出してしまった人もいるのではないだろうか?
トイレ介助中、人を支えているのに力いっぱい、あざになるくらいつねられた事がある人もいるのでは無いだろうか?
手を離せば、その人は倒れてしまうため、絶対に手を離せない状況であろうとも、そんな事は関係ない。
今まで気持ち悪かったのに、いきなりはがされ、転がされさらに気分が悪い事をされている事に対しての反応だ。
相手は忘れる。瞬間で、忘れる。最初に声かけを行っても、何をされているのか、聞いても理解できないだけだ。
しかし、職員は覚えている。
殴られた事。つねられた事。叩かれた事。
その積もり積もった悪い感情が、いつか爆発してしまう可能性がある事を、理解はしている。
今、コロナで全ての介護職員、医療スタッフは、自由に動けない状態にある。
気分転換で、カラオケや、飲み会、映画、食べ放題、温泉、皆とスポーツを行い、体を動かす事すら。
気分転換として、行っていた事全てを自粛していると思う。
しかし、毎日、人と過ごすと、かかるストレスは無視できるものではない。
今、こういう業界では、職員によるストレスが破裂寸前まで溜まってきているのではないかと思うのだ。
介護におけるストレスは、時間にも関係している。
介護は、思ったよりタイムスケジュールが、厳しかったりする。
何故なら、食事が、12時からだとすれば、11時には誘導を始めなければ、絶対に間に合わないし、だとすれば、10時半には、朝のおむつを終わらせておきたい。
で、あれば、9時には朝食後のトイレ誘導を始めておきたい。
その感覚を、新人さんは教えてもらえない。
業務の流れとして渡されても、「こんなに早くするの?」
くらいにしか思えないだろう。
しかし、いつも時間に追われるのが、介護業界なのだ。
ホームヘルパーですら、次の家に行く時間も考えればかなり時間管理は厳しいと思われる。
その時間に追われている感覚は、慣れてこなければ、すごいストレスになるのだ。
新人が、先輩が厳しいといったり、口調が強いと思うのは主にここである。
時間が無いのだ。
先輩の持つタイムスケジュールからしてみれば、新人が遅すぎてイライラしてしまうのだ。
トイレをするなら、トイレだけではない。
排せつの確認をし、看護に報告し。排便の有り無しを確認し、下剤の調節を聞きに行き。
記録を行い。
その全てを時間内に終わらせてしまいたいから、ゆっくりされるとどうしてもイライラしてしまう。
その全てが、新人に向いてしまう。
何かの介助の時、叩かれたり、殴られたりしてしまったり、暴言を吐かれた時。
午後からだったり、数日経ったりした後、ふとその事を思い出して、まったく関係ないおとなしい利用者に当たりそうになったりもする。
つまりは、職員も人なのだ。
自分が、嫌な事をされた事が、
突然フラッシュバックする事があるのだ。
その時、誰もいなかったら、自分で抑える事が出来なかったら相手を殴る事もあるだろう。
相手に暴言を放つ事もあるだろう。
普通はしない。
のではなく、自分もいつかする。の感覚が必要なのだ。
だから、どうやって自分の気持ちを抑えるかを考える必要があるのだ。
虐待もいじめも。
心の余裕が無い事が原因だと思われる。
トイレに行くのは、5分で終わる。
しかし、それが30人いれば、150分
単純計算でも、2時間半。
確かに、昔に比べれば介護は楽になった。
2時間ごとのトイレ誘導。
2時間ごとのおむつ交換をしなくても良くなっている。
しかし、それでも。
時間は足りないのが実状だと思う。
新人が育たない。今から人を増やしても、どうにもならない。
そんなことを前に書いたのも、そこである。
新人職員が行えば、おむつ交換に1時間かかる。
しかし、ベテランが行えば、30分で終わってしまう。
結局、ベテランがさっさと終わらせてしまい、新人は技術向上の機会を失うのだ。
時間に追われる事なく仕事ができれば虐待や、いじめも減ってくると思うのだが。
結局は、育たない新人に、イライラし強く当たってしまう。
その悪循環が少なからずあるのだと思ってしまうのだ。
ただ、時間が出来れば出来たで、無駄話をして仕事をしない人も多く出るのだろうけれども。