介護現場の実情
ニュースで、必死に介護人材を集めようとしていると話を流れているのを見た。
本当に「今更」である。
子供がいない今、介護の専門学校、介護の学科、介護を中心とする養成学校は、次々と閉鎖している。
主婦に、養成学校に通えるように声かけを。と言われても、来るわけがない。
今、レジ打ち、コンビニ、事務、倉庫整理。全ての仕事で人出不足なのだから。
十分の稼ぎは、得る事ができるし、実質「介護」の仕事は、「2時間だけ仕事をする」事が難しい職業である。
なれば、「半日仕事をする」のであれば、わざわざ、重労働、不清潔、感染症リスクまである「介護」に入る必要は無いのだ。
そして、そんな現状の中で、「60代の職員しかいない施設」が生まれて来ているのではないかと思うのだ。
昔から、介護に携わって来た人たちが生き残っている施設は、おそらくそうなるであろうし、これからは、「老々介護施設」が増えて来るのだと思われるのだ。
年々出生率は下がりっぱなしである。
20代、30代が介護の仕事をしたとて、得られる給料は、良くて手取り300万である。
最近、賃金を増やすと言っているが、これには罠がある。
介護職員は、老人の介護保険料や、年金などの税金でお金をもらい、自分の税金を払い、老人の健康保険料からお金をもらい、自分の健康保険料を払うという、「タコの足喰い」状態で仕事と生活をしている。
つまり、何が言いたいのかと言うと、「役所みたく、青天井に昇給しない」のだ。
税金の中で、限られた財源のみを使用している以上、もらえる金額には上限がある。
「パイの切り分け」状態なのだ。
なれば、結局若い人にとって、この仕事は「底辺」でしかないのだ。
昇給は望めず、子供を作っても、大学まで行かせる事ができるだけの収入は無いのだから。
結局、ここに昔ながらの考え方。
「介護は女性の仕事。パートのおばさんの仕事。だから、旦那が働いているから、収入はあるだろう。高い給料はいらないだろう。家で介護をしている人には、収入などないのだし」
という考え方が横たわっているのだ。
しかし、子供もいない今、給料を上げてでも、男性が、この業界に入って来ないかぎり、実質人出不足の解消にはならないのだ。
10年前に、私は、ぼそりと「医療と介護を合体させたらいいんじゃないか」
と言った事はある。
その話が出て来た事もある。実質浅いところでは、合体している部分は増えて来ている。
しかし、結局の所、全ての話は立ち消えになってしまい、結局今更になって人がいないと慌てている状況なのだ。
現状、コロナの影響で、この医療、介護の合体の話が再び持ち上がっている。
コロナ患者を施設で見た場合、特殊手当を出すと言う。
しかし、数年程度の事ですぐにこの話は立ち消えてしまうだろう。
このまま、きちんとした制度化を行い、医療負担の分散を目的とした、介護報酬の底上げができるとは1ミリも考えていない。
また、今の状況でこれをされても、施設職員が死ぬだけで何のメリットもないだろう。
仕事だけが増えた場合、やってられるかと憤る職員の離職率は過去最高になるだろうから。
7年くらい前からだったか。
このままでは、介護は壊滅すると言って、介護に携わる人たちが何人も政界へと挑戦していった。
成果として、「老人施設で、障碍者を預かる事が出来る」制度と、「介護の給料の格上げ」
がやっと実施される事になって来た。
しかし、「今更」なのだ。
300万~400万いかない程度の給料に魅力を感じる人間がどれだけいるのか。
結局は、「この仕事が好き」という、精神論によりかかるしかないのが現状なのだ。
障碍者施設も無くなって来ているし、障碍者施設すら、高高齢化に悩まされている。
利用者も、職員も。
障碍者も、老人施設も、ボランティアだけで支えられる業界ではない。
ボランティアだけでやれば、絶対に、いつか虐待が起きると断言していい業界である。
お金をもらい、プロとしての倫理と、プロとしての報酬がなければ、絶対に続ける事など出来ない。
自分の子供を見るわけではないく、自分の親を見るわけでもなく、結局は、顔も、いつ生まれたのか、どんな経緯で生まれたのか、どんな人生を送ってきたのか、書類上でしか知らないまったくの赤の他人の生活を支える仕事なのだから。
本当に考えて欲しい。誰がこの業界を支えているのか。
これから先誰が支えるのか。
移民や、海外からこの業界へ来てもらえるように話をすると言う議論もあった。
政府は、本気で進めようとしていた。しかし、少し考えて欲しいのだ。外国人の職員しかいない施設に、本当に自分が20年も住みたいと思うのか。
80歳を超えて、他人しかいない家に住み、さらにホームスティまでしたいと思うのか。
理性ではなく、感情として考えて欲しいのだ。
認知症になった時。そこでは、理性ではなく感情を中心に生活する日々が待っているのだから。
施設で勘違いされている事。
施設には、老人保健施設、高齢者サービス付き住宅、グループホーム、介護サービス付き住宅、小規模サービス、特別養護老人ホーム、療養型病院。
いろいろあり、困惑してしまうと思う。
そのサービスや、特性、何をしてくれるのか、何が出来ないのか、まとめてくれている物がほとんど無い上に、あってもあまり気にしてないのが現状ではないのだろうか。
だから、多くの人が、値段で特別養護老人ホームに申し込む事が多い。
ケアマネから進められて、入った施設もあるだろう。
しかし、忘れていけないのは、「ケアマネ全てが、何十年も介護経験を持っているわけではない」と言う事だ。
何十年と介護経験を持っている人は、その人が持っている潜在的な生活リスクに気が付くスキルを持っている。
そのリスクを考えて、提案してくれる事もある。
しかし、介護経験をしっかり積んでいないケアマネは、得てして介護職員と真っ向から衝突してしまう。
「ケアマネは、利用者の家族であれ」が原則である。
それゆえに、普通に介護職員と衝突するのは、当たり前であり、衝突しなければならないだろう。
しかし、経験が浅いケアマネは、「本人を無視して暴走する」
事があるのだ。
医療リスクが高いのに、特別養護老人ホームに入れる。
認知症が強く、しっかりした介護が必要なのに、小規模に入れる。
そんな事が起きてしまうのだ。
結局、そんな方は、施設で事故を起こすか、病院に入るかとなってしまう。
この前、記事に乗っていた事がある。
医療リスクが高く、常時呼吸器使用を必要としている方の呼吸器を、90歳の重度認知症老人が、止めたというものだ。
亡くなってしまわれた、障碍者の方には、ほんとうにお悔やみをもうしあげたい。
しかし、これが職員が恐れる「生活リスク」なのだ。
365日、24時間、全ての人を監視しているわけではない。
なのに、「一緒のホールに入れていた」事、「他室に入る可能性がある事を理解していた」のか、疑問に思ってしまう。
ベッドを満床にすればいい、とりあえず入れればいいと言う、ケアマネ。無理と叫ぶ職員。
この構図は、絶対に変える事は出来ないと思うのだが、「生活リスク」の一考は絶対にして欲しいと思う。
人の命を預かるのだから。
とりあえず、特性というか施設の出来る事、出来ない事を記入しておこうと思う。
老人保健施設、
リハビリ病院の頭打ちと、長期医療が続き、退院がしずらい老人が増えて来たために、作り始められた施設。「家に帰る」事を目標基本として、三か月を中心として生活リハビリ、運動リハビリ、嚥下リハビリを中心に行う。
大きな理由が無い限り、三か月で在宅へ帰る事を優先させる。
【出来る事】
医師が日中常駐しており、施設内にて、診療、処方が出来るため、緊急の点滴、簡単な医療処置など、医療処置が可能。看護士も、ほぼ24時間いるため、夜間の医療体制も整っている。
PT、OT、STなどが生活リハビリを行ってくれる。
ショートケア、ロングケアも可能。
【出来ない事】
三か月で、帰る事を基本としているため、長期の入所は不可能。
病院色が強いため、間食などの制限は強く、食事も病院色が濃い。
結構、お菓子や、漬物を隠し持っている方は多い。
家賃などは、医療費と介護費が半々。リハビリ量にて若干の入院費の上限あり。
※加算型老健など、長い事入居する事もできる所もあるようです。
ただ、何某かの裏技を使わない限り、その辺りは実際、分かり辛いと思います。
【闇】
特別養護老人ホーム、グループホームへの転居は、在宅復帰ととられるため、勧められる事が多い。病院とこの施設の間を転々と移動し続ける方もおられる。
※コメントにてご報告があり追記。
改定にて、老人ホーム、病院は、在宅復帰としないとされたようです。
これで、各施設内をたらいまわしにする事は少なくなるかもしれません。
ただ、懸念材料として、サ高住に流れ込むのではないかと邪推してしまいます。
高齢者サービス付き住宅、
高齢になり、独居が増えて来た事、孤独死が増えて来た事で、一人で住んでいて何かあった時に心配という声から生まれてきた施設。
【出来る事】
基本はマンションであり、勝手に施設を出て、買い物に行ったり、自室にて調理をする事も可能。(特別介助付き)にする事で、トイレ誘導、おむつ交換など、直接介助を追加する事も可能。ほぼ食事付き。介護職員が在中しており、病院の送り迎えなども行ってくれる。
【出来ない事】
直接介護を行う場合、きちんとしたケアプランにもとづき、ホームヘルパーを入れるという設定の元で職員が直接介助を行う。トイレの一部介助も含まれるが、介護量が増えると、対応不可となる。夜間不眠の方なども、この施設に入っている記事を見て、「仕事のキャパオーバー」を感じる。基本は、「職員を呼びつけて、世話をさせる」作りにはなっていないし、制度もそうなっていない。「自分で生活ができるけど、ほんの少し手助けが必要」な方を対象にして作られた施設だったはず。
【闇】
※高度機能障害など、地域で生活する事ができない方が入ってくる事が多く、トラブルが多い。
介護や、職員がいるので、やってもらって当然と思っている方が多いが、立ち上げ時の基本思想から行える介護量が曖昧だったため、職員が泣き寝入りしている場合が多い。
家賃、光熱費が高く、通常賃貸にヘルパーさんを雇っていると考えた方がいい。
※高度機能障害
若くして脳梗塞を発症した方で、治療は上手くいったが、片麻痺などの障害が残った方に時々みられる障害
OTさんが、レポート作成時に、意見を求められた事がありますが、記憶などには障害はみられません。
しかし、おむつ交換に行ったり、車いすへ移動するとき、ちょっとした時の言葉使いなどで、突然激怒される事があります。
またこだわりが強くなる傾向もあります。直接的な暴力につながる事はありませんが、相手を威圧したり、物を投げるなどの行為に及ぶ事が多いです。
感情のコントロールが上手く行かず、突然泣き出したりされるなど情緒不安定な方が多いです。
介護をする上で、家族が最も疲弊し、介護の限界を感じやすくなる病気です。
グループホーム、
海外の施設を目標として作られた施設。
【認知症を受け入れ、一緒に生活し、一緒に生きる】事を中心としている。
認知症を抱えたまま、共同生活する事を主体としており、大体、5人から8人くらいのユニットで構成されている。
家を改築した物が多い。
【出来る事】
生活をする事。一緒に料理を作り、一緒に洗濯をし、一緒に掃除をし、一緒に料理を食べる。
職員数が圧倒的に少ないが、家族と一緒に花見に出かけたり、食事会をしたり、食事についても、家庭で気をつける程度の認識であり、病院のようにカロリー管理されているわけではない。
意外と、えっというおやつを普通に食べていたりする。(手作りプリンとか、ホットケーキとか)外出も、職員次第で意外と出ていける。
(空き家になっている家に、午前中帰るなんて事をした事もありました。)
必要な介護全般。庭があれば、家庭菜園も可能。
【出来ない事】
医療行為全般。内服管理や、軟膏や湿布を貼ったりする程度。
全ての医療行為は、病院に行く必要があり、病院にて処置していただく。
看護巡回があるところもあるが、基本は施設ではなく、家として考える。
(インシュリンなども、本人が行うものとして、職員が行う事は禁止している事もある)
【闇】
値段が高い。家賃もふくめ15万から、20万/月 かかる。
内訳は、家賃、光熱費、食費、医療費、おむつ代、介護費用など。
また、お小遣いとして、2~3万程度必要。
きちんと申請すれば、高額介護費として、戻りはあるが、一度は払わなければならない所が多い。
重度の認知症でも生活が出来るが、高度機能障害や、精神疾患のある方は断られる。
包丁、はさみが普通にあるため、職員が刺されたり、利用者同士で刺されたりする事もあり入居時に本人の性格や、病気に対する理解が浅はかであれば、警察沙汰になりやすい。
(知っているグループホームでも、80代のおじいさんに、包丁をつきつけられた事がある職員がいました)
介護サービス付き住宅
高齢者サービス住宅より、規制がゆるい。簡単に言えば、緊急ナースコール付き住宅ともいえる。
要支援の方や、高齢者でも利用できますと言う説明文の書き方をされる。
実際は、寮母扱いの職員がいる事が多く、(介護サービス付き)は、必要ならヘルパーを入れる事が可能ですよ。といったニュアンス。
【出来る事】
マンションや、アパート。自立が基本。
【出来ない事】
今は分からないのだが、ひと昔前までは、隣の施設に職員がいたりして、緊急時は、隣の施設から担当職員や、当直が様子を見に行くといった状態の所もあった。基本、介護は無いと思っていいのかも知れない。
【闇】
生活保護の方を集めて、経営をしたりと、闇深い施設になりがち。
今は分からないが、ひと昔前に、介護職員を確保しなくても、基本ヘルパーさんが介護に入るので、一時期乱立した。
小規模多機能サービス
ここは実際のところは自分も良く分かっていないのだけれども、やれる所をやり、やれないところの介護希望をお願いするといった感じだと思っている。
最近はやりのPAVOや、AHAMOのような物で、自分が使いたいサービスを追加で増やしていくシステムだと思う。
泊まりもある。
出来る所、出来ない所は良く分かりません。
なんでもできるけど、何も出来ない。
話や、説明を聞くとそんな感じの施設です。
海外式なのかもしれないですね。お金を払って、自分の好きなサービスだけ受けると言った感じでしょうか。
特別養護老人ホーム
昔から言われている、老人ホーム。
ごはんを食べて、話をして、適当に体を動かして、寝るといった生活リズムの施設。
主だったリハビリも行われない事も多く、寝たきり老人にしやすい施設でもある。
終の住処と言われる事も多く、「看取り」をしている所も多い。
【出来る事】
介護全般。3大介護(食事、排せつ、入浴)を中心に行っている。
元気に長生きをスローガンにしている施設が多い。
日中は看護はいるが、内服管理や、傷の処置が中心であり、医療行為は緊急時以外はほぼ行わない。
費用は圧倒的に安い。
【出来ない事】
緊急時の、勝手な受診など。
家族へ、緊急時にどうするのかヒアリングがあり、緊急搬送(救急搬送)か、看取り(何もしない)かの選択がある。
看護がいるのだから、大丈夫ではなく、看護も医師の処方や、指示がなければ何も出来ないため、日中であっても、夜間であっても、救急搬送時は、家族への連絡と、付き添いをお願いする事がある。
基本、施設の中での医療行為はしない。看護士は、傷の処置や、内服管理を中心に行う。
(点滴すら、緊急時に限られる)
一人での外出は禁止。
(勝手に外出されて、日本中で、何人も行方不明になってます)
療養型病院。
老人病院。
完全看護の病院であり、延命器具を使用しての延命処置も希望すれば行えるところもある。
精神病棟を抱えている所も多い。
高濃度の点滴など、体調不良時は、対応が早い。
医療行為が本人にとって必要で無くなれば、退院してもらう事もある。
また、夜間、暴言や、抜針が酷い場合は、付き添いをお願いされる病院もある。
私が知りうる限りの情報を詰め込んでみました。
なにかの時に、参考にしていただければと思います。
かなり、妄想や事実と違う事もあるかも知れません。
もし知っている方がおられれば、教えていただけると幸いです。