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七星のパラディン  作者: 後見 ナイ
2/4

勝率0%の剣士

1話は4部構成です

 「新入生、挨拶」

生徒会と思しき学生が張りのある声でそういうと、新入生の視線が一気に壇上に上がらんとする赤髪の少女に集中した。


 それを見て、#楪雷刃__ゆずりはらいば__#も視線を動す。

その代々受け継ぐごとに濃くなっていると言われるその深紅の髪は間違いなく先代勇者クロス=ドルドの血を引くもの、クロス=リーリアだと分かった。


 クロス家の歴史はまだ浅いものの、その勢力は止まることを知らず、東側の特権であった勇者の座までも掌握するまでとなった。


 リーリアは壇上に立っても臆することなく新入生代表の言葉を述べている。

その様子は多くの新入生の目には憧れや嫉妬が映っていたことだろう。

妬みや嫉妬の視線は主に東側の生徒なのだが。


 聞いた話によれば、首席の選抜は仮想戦闘シュミレーションシステム(VBSS)と呼ばれる幻想系の術式を機械に組み込んだものでの戦績と入学試験の結果で判定されるそうだ。


VBSSは極限まで実践に近い形で戦闘をシュミレーションすることができ、怪我も負うことのないとして多くの施設で取り入れられている。ここ最近の目まぐるしいイノべーションの産物だ。


噂では彼女の勝率は歴代最高で90%を超えているらしい。


 式辞を終えたリーリアが大きな拍手を浴びながら壇上を降りると、一気に緊張が抜けたのか、会場内はガヤガヤとまた騒がしくなった。


 多くの生徒がこれから行われるクラス発表に胸を膨らましているのだ。


 俺のクラスはすでに決まっていて事前に配属クラスを教えられているのだが、なんとなく自分だけ見に行かないのもおかしいと思い、人の流れに身を任せ見に行くことにした。


 豪邸が二軒ほど立ちそうなほど大きな中庭に張り出されたクラス一覧を確認する。

クラスはS、A、Bに分かれ、さらにSー1、Sー2、Aー1、Aー2と言ったように入試の結果を元に編成されていた。


自分の名前はすぐに見つかった。というか浮いていた。


やはりSー1クラスに俺の名があったのはいいものの俺以外の東側の生徒は2人しかおらず、しかもその両方が五剣聖の二閃と五閃の子孫で残りは西側特有の長ったらしい名前が書かれていた。


 五聖剣というのは勇者に限りなく近い力を持つ東側の一族だったのだが、当時の王のネーミングセンスがなかったようで一閃、二閃、三閃、四閃、五閃と名付けられたというわけだ。


 Sー1の教室に入り、指定されていた自分の座席に腰を下ろすと、隣の席に座っていた短髪の少年から声をかけられる。


「よお、俺は、アスタ=サラマンだ」


アスタ=サラマンはそう言って、俺に手を差し出した。

俺はその手を掴み、握手を交わす。

アスタ=サラマン。そう名乗った少年は、綺麗な目を持つ好青年だった。


「俺は、#楪雷刃__ゆずりはらいば__#だ」


「マジか、お前、東側の人間かよ。よろしくな」


彼はそう嬉しそうに笑いかけてくれたが、クラスの視線がこちらに向いている気がした。

東側の人間が珍しいのかと、その時は特に気にしなかったのだが、この違和感は、担任を名乗るクドラ=ランセンスが提案し、行われた自己紹介の時でも感じた。


 俺が、自分の名を言った瞬間、見慣れないのか、何か偏見があるのか、俺の腰に刺さっている剣をマジマジと眺めたり、小声で「変な名前よね」と囁く西側生徒の姿も目に入った。


 それはまあ、想定の内だったのだが、想定外だったのは同じ東側のクラスメイトである#二閃冬夜__にせんとうや__#と#五閃秋来__ごせんしゅうらい__#までもが俺を警戒するような視線で見ていたことだ。


 むしろ奇策に接してくれるアスタの方が変わっているという感じだ。

無難で楽しい学校生活を送ろうと思っていたが、当分は難しそうだと#楪__ゆずりは__#は肩をすくめた。


読んでくれてありがとう

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