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盾持ち令嬢の英雄譚  作者: 雨降波近
第三章 もふもふですわ!
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第五話




「――行き止まりだった」


 廃坑の様子を確認に向かったサラ。そう時間の経たないうちに戻り、報告する。


「風の魔石はどうでしたの?」

「魔力切れ。でも、ガスも薄かった」


 言って、サラは腰に付けた魔道具を指す。中央に装着された水晶の色で、空気の状態が分かる。有毒な状態ほど、赤く光る。

 水晶はほぼ光っていない。この廃坑はほぼ安全である、という証だった。


「では、もしもの場合はこちらにもふもふを追い込む可能性もありますわね」

「……難しい。この辺り、一本道じゃない」


 アディの判断を即座にサラが否定する。実際、この廃坑近くは現役の坑道がいくつも通っている。この場所に追い込もうにも、他の分岐に入られて逃げられる可能性が高い。

 それを、アディも言われてから理解する。


「確かに、そうですわね。では、あくまでも可能性の一つとして覚えておく程度に留めておきますわ」

「……それなら、いい」


 サラは言うと、ぷいっと顔を背ける。そして、一人で坑道の先に進み始める。それをニコニコの笑顔で追うアディ。


「さすがですわ、サラさん。貴女が一緒のグループで、本当に良かったですわ」

「……無駄話、しないで」

「はい、了解ですわ!」


 つっけんどんなサラの態度にも、アディは臆さない。ニコニコ笑顔のまま、黙ってサラについていく。


 やがて、少し進んだところ。複数の坑道が交わる、開けた場所にて。他の冒険者達がアディを待っていた。


「リーダー。ターゲットが見つかったぞ」

「まあ。それで、今はどのような状況ですの?」


 想定よりも早い遭遇報告。アディは現況を尋ねる。


「負傷者はいねえ。が、思ってたよりも凶暴で強力だな。かなり積極的に攻撃してくる。体当たりで盾が凹んだヤツもいる。だが、攻撃手段はほぼそれだけだ。殺傷能力は低い」

「なるほど。でしたら、やはり当初の予定通りで行きましょう。逃げ道を封鎖して、追い込みをかけてゆきますわ」

「おう、了解だ」


 こうして。アディに報告を終えた冒険者達も、再び坑道探索に向かう。まだ、地形の把握も完全ではない為だ。

 今しばらくの探索の後に、もふもふ追い込み作戦へと入る。




 その後、しばらくの間探索は続いた。やがて十分に情報を集めた冒険者からアディの元へと集まってくる。

 そうして。冒険者が全員集合したところで、アディが指示を出す。


「では、皆さん。作戦は次の段階に進みますわ。集めた情報によりますと、もふもふは特定の坑道周辺に出没するようですわ。――幸い、近くには行き止まりの廃坑も複数あります。複数の坑道を塞ぎ、包囲しながらいずれかの坑道に追い込みましょう」

「……優先順位は?」


 アディに問いかけたのは、サラ。


「どの坑道に追い込むのか、指示が無いとバラバラになる」

「そうですわね。……この辺りの坑道が、最も適切かと思いますわ。ガスも薄く、出没地点のどこからでも追い込みやすい位置ですし」


 言って、アディは作成された簡易地図を指し示す。これを見て、サラも含めた冒険者一同が頷く。

 こうして、作戦の方針も固まった。


「では――いよいよ、もふもふ追い込み作戦、開始ですわ!」

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