第一話
アディの冒険者としての活動は順調だった。
ステータスも高く、シールドバッシュを工夫して攻撃に転用もしている。そのため、魔物討伐系の依頼は難なくこなすことが出来た。
また、貴族なので当然教養もある。護衛などの依頼も、依頼主とトラブルを起こすことが無かった。
そうして順調に依頼をこなして――冒険者ギルドから評価された。
結果。今回、少し特別な依頼をこなすことになった。
王都から少し離れたところにある、片田舎の村。その近辺にある鉱山に、厄介な魔物が住み着いたのだとか。
坑道に住み着いた魔物は、不利を悟ると入り組んだ道を利用して逃げる。だから、組織的に追い込まなければ討伐も困難。
そうした理由から、多人数の冒険者が派遣されることになったのだけれど。
なんと、アディはその冒険者たちのまとめ役に抜擢されたのだ。
――そうした理由から。多くの冒険者たちと共に、複数の馬車で村へと向かうアディ。
同じ馬車への同乗者は三人。
「ねえアディ。向こうに着いたら、まず何をする予定なの?」
そう訪ねたのはサフィラ。冒険者登録の時以来、何かと一緒に仕事をすることも多かった。その為、以前よりも更に親交が深まっている。
「村の方々に、詳しい話を聞いてからですわね。ギルドからの情報だけでは分からない部分もありますもの」
「さすがです、お嬢様!」
そう言って、アディの判断を持ち上げるのはクララ。アディと共に冒険者活動をする過程で、自然とレベルも上がっていた。冒険者としての評価も上がった。
だからこうして、アディと同じ依頼に同行しているのだ。
「――それぐらい、当然」
そして――不機嫌そうに声を漏らしたのは、灰色の髪をした少女。
「事前調査は、冒険者の基本」
「ちょっとサラ。そんなにつんけんする必要無いでしょ」
サフィラが灰色の髪をした少女に忠告する。少女――サラは、忠告に顔を顰める。
「……別に、つんけんしてない」
そして顔を背けて。ボブカットの髪をいじりながら誤魔化すように言う。
――この少女。サラは、アディが活動する中で出会った冒険者の一人。
どうやら王都の貧民街出身らしく。不自由なく暮らす貴族や裕福な商人が嫌いらしい。
だからなのか。明らかに貴族らしいアディのことも嫌っており。こうして露骨に、アディとクララのことを嫌がる素振りを見せるのだ。
そしてサラとサフィラは以前からの知り合いであって。この二人は仲が悪くない。なのでサラの言葉に、サフィラが忠告するというのがいつもの流れとなっている。
「……はぁ。まあ、別に仲良くしろとまでは言わないけどさ。仕事なんだから、ある程度は割り切ってちょうだいよね」
「うん。分かってる」
とまあ、この通り。サフィラに対しては素直なのだ。だから、アディもサラのことを嫌いではない。本当は良い子なのだと分かっているのだから。
なお、この四人が同一の馬車に乗っているのは、ギルドの采配である。今回、冒険者を統率するのはアディなのだが、そのサポート役が同乗する三人。つまりクララ、サフィラ、サラの三人なのだ。
だから同じ馬車に仕方なく乗っており。道中、既に色々な話をして仕事の打ち合わせもしている。
その過程で、仕事に関する話題にはサラも積極的に参加していた。あくまで、個人的にアディのことが気に入らないだけであって。嫌がらせとか、仕事に支障の出るようなことはしない。
そうしたプロ意識があるのもあって。アディは、サラのことを全く嫌っておらず。むしろ、好感を抱いているぐらいなのであった。




